SUPER GT 第2戦 富士 レポート&フォトギャラリー

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SUPER GT第2戦富士、au TOM’S GR Supraが逆転勝利達成!

<GT500>
5月3、4日、静岡・富士スピードウェイにおいてSUPER GT第2戦が行なわれ、450kmの戦いを#36 au TOM’S GR Supra(坪井翔/宮田莉朋)が制した。シーズン最初の450kmレースは、フルコースイエロー(FCY)、セーフティカーが一度も介入しない極めてクリーンな展開となった一方で、あちこちで最後までバトルが続き、見どころ多い熱戦でもあった。

新型コロナウイルスの感染拡大防止の規制が緩和される中で迎えた今年のゴールデンウィーク。第2戦の舞台となった富士スピードウェイでも観客数の制限を撤廃。すでに前売り券が完売となる大盛況だった。予選日から安定した五月晴れに恵まれた今回、気温、路面温度もじわりじわりと上昇。ファンにとっては絶好のレース観戦日和となったが、レースを戦う側としては、今シーズンから持ち込みセット数が削減となるタイヤマネージメントに頭を悩ますことにもなったようだ。

午後からのノックアウト予選では、まず#16 ARTA MUGEN NSX-GT(福住仁嶺/大津弘樹)がQ1で最速タイムをマーク。これに”兄弟車”の#8 ARTA MUGEN NSX-GT(野尻智紀/大湯都史樹)が追随。そして、3番手には#24 リアライズコーポレーション ADVAN Z(佐々木大樹/平手晃平)、4番手にGR Supra勢トップとなる#14 ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/山下健太)が続いた。

気温19度、路面温度35度とQ1とほぼ変わらぬコンディションで行なわれたQ2。朝の公式練習時から安定感ある速さを見せる24号車がターゲットタイムをマークすると、これを#100 STANLEY NSX-GT(山本尚貴/牧野任祐)が更新。チェカーラップの周に#19 WedsSport ADVAN GR Supra(国本雄資/阪口晴南)が自己ベストタイムを削ってポジションアップしたが、100号車のタイムには及ばず。結果、100号車が1分26秒420のタイムでシーズン初となるポールポジションを手にすることとなった。2位には19号車、そしてラストアタックでポジションを上げた16号車が3位につけることとなった。

決勝日は早朝こそ薄曇りだったものの次第に青空が戻ると、決勝前には雪化粧の残る霊峰富士が現れ、この季節ならではの美しさを披露した。正午からのウォームアップ走行を終え、そのままスタート進行を迎える頃には、気温21度、路面温度35度へと上昇。午後1時30分には静岡県警による9台のパトカー、4台の白バイの先導によってパレードランが始まり、フォーメーションラップを経て100周、450kmの戦いが幕を開けた。

ポールスタートの100号車はポジションキープに成功。一方、予選2番手の19号車はタイヤのウォームアップに苦しみ、後方車両の先行を許してしまう。また100号車もタイヤのピックアップを被り、ペースダウン。2位につけた16号車に攻め立てられた。そんな中、真っ先に1回目のピット作業を行なったのが5番手を走行していた#8 ARTA MUGEN NSX-GT(野尻智紀/大湯都史樹)。給油とタイヤ交換のみ行ない、ドライバーはダブルスティントでコースに復帰した。これを境にピット作業を始めるチームが次々と出始めたが、トップ争いの2台は31周終わりでピットに帰還。だが、トップを走る100号車にとって、このピットインはあくまでもイレギュラーのタイミングだった。というのも、同じ頃、コース上でGT300車両の1台にタイヤトラブルが発生。100号車は場合によってはFCYが導入されるのではないかと想定し、早めのピットインを敢行したのだ。だが、実際にはFCYが導入されることはなかった。

トップ2台がピットインしたことで、予選6番手から3位にポジションアップしていた36号車が暫定トップに浮上。暫定トップに立つと、クリーンなポジションからペースアップして、”見えない敵”となった100号車や16号車とのタイム差を広げていった。GT500では、40周終わりに全車が1回目のピットインを完了。予選からのポジションが前後する中で、36号車のトップ快走は変わらず。そして、レース折り返しとなる50周を2回目のピット作業が近づく。

まず暫定2位の8号車が61周目、またトップ36号車および100号車は63周目にピットイン。なお、ここまでトップ争いに絡んでいた16号車は1回目のピットでの作業が違反対象となり、ドライブスルーペナルティが課せられて表彰圏内から脱落することになる。全車両が2回目のピット作業を終えたのは78周終了時。これにより、36号車が晴れて再びトップへと返り咲き、気付けば2位100号車に対して17秒ほどの大差をつけていた。

一方の100号車は3番手24号車と約6.5秒の差があったが、78周終わりでフレッシュタイヤを手にした24号車がハイペースで100号車を猛追する。だが、24号車は95周目のダンロップコーナーで前方を走る2台のGT300車両のバトルに絡み、その後方車両に追突するアクシデントに見舞われてしまう。これでラジエターを破損した24号車は走行継続が厳しいことから緊急ピットインを強いられ、このままガレージイン。戦線離脱の幕切れを迎えた。

結果、36号車は大量リードのままトップでチェッカーを受け、待望のシーズン初優勝を達成する。2位の100号車に続き、3位表彰台を手にしたのは#17 Astemo NSX-GT(塚越広大/松下信治)。予選8番手から着実にポジションを上げ、特に終盤は粘り強いアプローチでライバルたちを逆転してきたことが好結果につながった。中でも#3 Niterra MOTUL Z、8号車との攻防戦は凄まじく、最後まで手に汗握るバトルを演じ、表彰台の最後の一角をもぎ取っている。

 

<GT300>
GT300クラスでは、義務付けられた2回の給油作業をいつ消化するか、このタイミングが結果に少なからずとも影響を与えることになった。巧みな戦略が奏功し、ポジションアップは果たせたものの、正攻法でレースに挑んだ#56 リアライズ日産メカニックチャレンジGT-Rには、及ばなかった。

予選でクラストップタイムをマークしたのは、ディフェンディングチャンピオンの56号車。ベテランのジョアオ・パオロ・デ・オリベイラが自身初のGT300クラスポールを手にしている。レースは、4位スタートの#52 埼玉トヨペットGB GR Supra GTと5位スタートの#2 muta Racing GR86 GTの2台がレース序盤に1回目のピットインで給油のみ完了。2台のうち2号車は1周終了時点でピットに舞い戻り、混雑を回避するかのように自身のペースで周回を重ねていった。52号車も同様の戦略を採ったが、ピットインが3周終わりになったことで、2号車ほどの”いい流れ”を掴み取ることはできなかった。これに対し、56号車はミスなくそつなくレースを周回。450kmを均等に分けるかのように30周終わりでピットインすると、ドライバー交代せずに給油とタイヤ交換のみ実施。そのままデ・オリベイラがコース復帰を果たした。

レース折返しを迎えても、”我が道”を行く56号車がトップをキープ。だが、2号車、52号車は”見えない敵”のポジションからハイペースで猛追を重ねており、56号車が2回目のピット作業を終えてコースに復帰すると、2号車が先に1コーナーへと進入。ポジションが入れ替わる。このまま56号車を押さえて逃げ切りたい2号車だったが、80周目には最終コーナーで56号車に並走され、メインストレート明けの1コーナーで逆転を許すことに。このあと、2台の差が大きく開かなかったこともあり、2号車は最終ラップまで56号車のテールに喰らいついたが、逆転はならず。2位でチェッカーを受けた。3位は52号車。2号車とともに車両特性を引き出す戦いを見せ、表彰台に立っている。

シーズン3戦目の舞台は三重・鈴鹿サーキット。今大会に続き450kmで行なわれ、また、GT300車両にも今シーズンから採用された新燃料_カーボンニュートラルフーエル「GTA R100」が搭載される。開催は、6月3、4日を予定している。

(文:島村元子 撮影:中村佳史)