不安定な天候、波乱の展開でS.フェネストラズが大逆転勝利!
5月24日、三重・鈴鹿サーキットにおいて、全日本スーパーフォーミュラ選手権第4戦の予選、決勝がワンデーレースとして開催された。雨がぱらつく不安定な天候下で行なわれた決勝は、終盤の”タイヤ選択”が勝負の明暗を分ける形となり、予選14番手のNo.37 サッシャ・フェネストラズ(VANTELIN TEAM TOMʼS)が劇的勝利を果たすこととなった。
4月上旬、モビリティリゾートもてぎでの開幕戦以来、なにかと雨絡みのコンディションに見舞われている今シーズンのスーパーフォーミュラ。前回、第3戦オートポリスが天候不良により決勝がキャンセルされているだけに、今週末も天候の行方が注視された。なお、今回の鈴鹿大会も開幕戦同様、今回の鈴鹿も土曜、日曜にそれぞれ予選と決勝を行なうワンデーレース形式で行なわれる。
予選前日に行なわれた専有走行で総合トップタイムをマークしたのは、No. 6 太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)。現在、暫定ランキングトップの太田が勢いある走りを披露した。これに、僅差でNo. 1 岩佐歩夢(TEAM MUGEN AUTOBACS)、さらにNo.65 イゴール・オオムラ・フラガ(PONOS NAKAJIMA RACING)が続く結果となった。
快晴のなかで実施された専有走行とは打って変わり、土曜日はところどころに濃灰色の雲の塊が浮かんだ鈴鹿。午後に入ると時折風にのって雨がポツポツと降ったが、路面を濡らすほどではなかった。また、これに先んじて行なわれた午前9時30分からの予選もドライコンディションで実施されたが、気温は20度、路面温度は22度と前日とは大きく異なる状況でのアタックセッションとなった。
Q1では、A組でNo. 5 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が痛恨のコースオフ。計測ができず、最後尾に甘んじる。また、No.36 坪井 翔(VANTELIN TEAM TOMʼS)もベストタイムが走路外走行に該当すると判定を受けてタイム抹消となり、Q1敗退に。これにより、7番手で予選を終えていたルーキーのNo.50 野村勇斗(San-Ei Gen with B-Max)が繰り上げでQ2進出を果たした。一方、トップタイムは岩佐だった。続くB組では、太田がトップ通過。これに野尻、第2戦決勝で2位となったNo.38 阪口晴南 (SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)が続いた。
12名が出走したQ2では、現役参戦ドライバーで最多ポールポジション獲得者の野尻が各セクターで最速タイムをマークしながら快走を見せる。だが、それを追う岩佐がことごとくこのタイムを上回る。野尻は1分37秒647のタイムで暫定トップに立ったが、その直後に岩佐が0.018秒差でトップを奪取。そして3番時計となったのが、野村。Q1・A組で繰り上げ通過を果たした名古屋出身ルーキーが、ホームサーキットとも言える鈴鹿で躍進した形となった。
- 予選ポールポジション #1 岩佐歩夢(TEAM MUGEN AUTOBACS)
- 予選2番手 #16 野尻智紀(TEAM MUGEN AUTOBACS)
- 予選3番手 #50 野村勇斗(San-Ei Gen with B-Max)
予選からおよそ5時間後の午後2時45分にスタートした31周の決勝レース。午後から冷たく強い風が吹き、いつ雨が降り出してもおかしくないほど怪しげな雲があたり一面に広がった。
幸い、ドライタイヤでのスタートとなり、ポールポジションスタートの岩佐が難なくホールショットを決めて1コーナーへ。順当に野尻が続く一方、予選3番手の野村は自己ベストグリッドから失速。後続車に飲まれる形でポジションを落とした。
トップ車両が義務作業のタイヤ交換が可能となる8周に入ると、アンダーカットを狙う太田が真っ先にピットへ。合計7台がタイヤ交換を行なう。さらに翌周には5台が作業を済ませたが、トップ3の岩佐、野尻、さらに阪口はステイアウトを選択。また、ペースを取り戻した野村も好戦し、阪口をかわして3番手へと戻ったが、その後のピット作業でタイヤ交換に手間取り、惜しくも再びポジションを下げることになった。
一度は雲行きが怪しくなった天候も落ち着き、レースは後半へと突入。だが、そのなかで18周目の130RでNo. 9 野中誠太(KCMG)が激しくクラッシュバリアに突っ込むアクシデントが発生、セーフティカーが導入された。このタイミングでまだタイヤ交換を済ませていない上位陣は迷うことなく19周終了時にピットへと帰還。トップでピットに舞い戻った岩佐は、すでに温まったタイヤでペースアップしていた太田をなんとか押さえ込んでトップで復帰を果たすことに成功する。これにより、岩佐の背後に太田、さらにNo.14 福住仁嶺(NTT docomo Business ROOKIE)、阪口、No.65 イゴール・オオムラ・フラガ(PONOS NAKAJIMA RACING)、No.19 ザック・オサリバン(TEAM IMPUL)と続くなか、チームメイトの岩佐と同じタイミングでタイヤ交換を強いられた野尻はオサリバンの背後に甘んじる。
レースはこのSCラン中から再び雨が落ち始め、コースを濡らすまでに。ハーフウエットでの走行が続き、21周終了時にリスタートとなったが、その際、トップの岩佐のペースが伸びずに太田、さらには福住の先行を許した。さらに、その後方ではフラガと野尻がそれぞれ態勢を崩してコースオフするなど大混乱の状態に。これを受け、再びセーフティカーの導入となったが、トップ太田はじめ、上位10台が続々とピットに戻ってウェットタイヤへと交換した。これに対し、後方を走る7台はポジションアップを狙ってステイアウトを選択。そのトップに居たのがフェネストラズだった。予選14番手に甘んじるなか、濡れた路面をなんとかコントロールするなか、雨も止み、残り4周のバトルが再開。ステイアウトを選んだ7台を先頭に、これより先にウェットタイヤに交換していた1台が続き、タイヤ交換をした太田は9番手から追い上げを目指した。
フェネストラズは不安定なコンディションのなかで抜群のマシンコントロールを見せたが、そのうしろにつけていたNo. 3 ルーク・ブラウニング(REALIZE KONDO RACING)とNo.39 大湯都史樹(SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)は失速。No.22 松下信治(DELiGHTWORKS RACING)が代わって2番手に浮上する。また、そのうしろにいた坪井も同様に3番手へ。そしてレースはこのままチェッカーを迎え、フェネストラズが自身3勝目を達成。2位となった松下にとっては、復帰後初の表彰台に。また、3位坪井にとっても、待望のシーズン初表彰台を果たすこととなった。
これに対し、ポール・トゥ・ウインを目指した岩佐は13位、また一時は勝利の可能性もあった太田は7位でレースを終えている。
- 第4戦 スタート
- 優勝した #37 サッシャ・フェネストラズ(VANTELIN TEAM TOMʼS)
- 2位 #22 松下信治(DELiGHTWORKS RACING)
- 3位 #36 坪井 翔(VANTELIN TEAM TOMʼS)
- 第4戦 表彰式
第5戦鈴鹿、福住仁嶺がポール・トゥ・ウイン達成!
5月24日、前日に続き全日本スーパーフォーミュラ選手権第5戦の予選、決勝レースが鈴鹿サーキットにおいて行なわれ、ポールポジションからスタートしたNo.14 福住仁嶺(NTT docomo Business ROOKIE)が大激戦を制し、チーム移籍後初となる優勝を遂げた。
不意打ちのような雨により、落ち着かないレース展開となった前日の第4戦とは異なり、第5戦は朝から五月晴れの天候に恵まれて、雨の心配もなくドライコンディションで激戦を繰り広げた。
午前10時25分、予選は気温24度、路面温度33度のなかでQ1A組からスタート。まずNo.64 佐藤 蓮(PONOS NAKAJIMA RACING)がトップにつき、これに前日の予選ではコースオフして計測できずに終わっていたNo. 5 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が2番手で続き、3番手にはNo.16 野尻智紀(TEAM MUGEN AUTOBACS)。また、ルーキーのNo. 28 小林利徠斗(KDDI TGMGP TGR-DC)が4番手通過を果たし、Q2への進出を決めた。
B組にはNo. 1 岩佐歩夢(TEAM MUGEN AUTOBACS)、No. 6 太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、そしてNo.36 坪井 翔(VANTELIN TEAM TOMʼS)と優勝争いの可能性が高いドライバーが出走。アタックタイムでは、岩佐、太田に続いでNo.65 イゴール・オオムラ・フラガ(PONOS NAKAJIMA RACING)が3番手で続き、前日の予選で速さをアピールしたNo.50 野村勇斗(San-Ei Gen with B-Max)も4番手でQ1通過を果たす。
午前11時からのQ2には計12台が出走。福住、坪井、佐藤、フラガの4台はピット待機を選択する。一方、コースインした8台のうち、牧野、太田、そしてNo.37 サッシャ・フェネストラズ(VANTELIN TEAM TOMʼS)とNo.38 阪口晴南 (SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)はアウトーインを行なわず、コースインするとじっくりタイヤを温めるアプローチを採った。
一番最後にコースインしたのは坪井。福住はそれより2分ほど先にコースへ向かうと、各セクターで最速タイムを刻む。セクター1は、その後にアタックラップに入った佐藤、野尻、牧野が順にタイムを削り取っていったが、その後のセクタータイムでは福住が最速。その流れのままチェッカーを受け、1分37秒605のタイムをマークしてトップに立った。
後続車がチェッカーを受けるなか、岩佐が福住に迫るタイムで2番手となり、3番手にはフラガが。また、最終アタックで牧野が4番手で続いたが、その後、フラガ、野尻、佐藤、そして太田の4選手が走路外走行の対象となりアタックラップが抹消された。
結果、福住が2024年第6戦富士以来、2年ぶり通算3度目のポールポジションを獲得。チーム移籍後としては初めてとなる。2番手には岩佐、3番手に牧野が続き、それぞれが前日の決戦を上回るレースを目指すことになった。
- ポールポジション #14 福住仁嶺(NTT docomo Business ROOKIE)
- 予選2番手 #1 岩佐歩夢(TEAM MUGEN AUTOBACS)
- 予選3番手 #5 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
午後2時45分、メインストレートにやや強めの風が吹くなか、第5戦の決勝が迫る。気温は25度、路面温度は40度まで上昇。初夏らしいレース日和の下、決勝を迎えた。
ポールシッターの福住が無難にホールショットを決め、岩佐は2番手をキープ。一方、後方では接触事故が発生。メインストレートにパーツが散乱したことを受け、セーフティカーが導入された。4周終了でレースが再開すると、このタイミングで予選9番手からスタートを決めて6番手にアップしていた太田が目前の野村を攻略。また、3番手を走る牧野はリスタートで加速が鈍る岩佐をパス。これにより、逃げる福住を牧野が追い、早速オーバーテイクシステム(OTS)を活用して福住を猛追する形となった。
レースは8周に入り、現状打破を狙う牧野を筆頭に、フラガら6台がルーティンのピットイン。これで福住を追うのは岩佐へと変わり、坪井、そして太田がこれに続く。そのなかで坪井は11周終了でピットへと戻り、6秒の作業でコースに復帰。14周目の130Rで牧野を逆転して、ピット作業を終えたドライバーのなかでの”裏1位”に立った。
レース折り返しに向かうなかで上位陣は膠着状態に。そこで先に動きを見せたのが岩佐だった。21周終わりでピットインすると、5.4秒という速さでタイヤ交換を済ませてコースへ復帰。その背後に坪井が迫り逆転を狙ったが、タイヤを交換したばかりの岩佐は巧みなコントロールで坪井を抑え込み、ポジションを死守。逆に坪井は岩佐に接近しすぎたことでクルマの挙動が乱れ、スプーンカーブで痛恨のコースアウト。逆転の好機を逃した。
トップの福住は22周終わりでピットイン。太田、フェネストラズがこれに続き、タイヤ交換を行なう。6秒強の作業時間となった岩佐に対し、太田は5.8秒の好タイムでコースに復帰して”裏1位”に。しかし、ニュータイヤを装着したばかりの太田は岩佐の逆転を許してしまう。勢いに乗った岩佐はみるみるうちに福住との差を縮め、26周目の130Rで逆転に成功。だが、福住も負けじと翌周にはOTSを使い、再びトップを奪い返した。
そのふたりを背後から”観察”していた太田は、3人のなかでOTSの残量も一番多く、ともすれば”漁夫の利”の可能性もあった。ファイナルラップで三つ巴となるなか、各車の間隔はともに0.7秒強。太田はOTSを使って追い上げを見せるが、バトルを続ける前の2台にはあと一歩及ばず。結果、福住が0.240秒差という辛勝でシーズン初優勝を実現。自身としては5年ぶり3勝目、トヨタ移籍後として初優勝を果たした。2位岩佐はまたしても今季初優勝のチャンスを逃すことに。一方、3位太田は決勝での健闘が実り、、シリーズランキングではトップをキープしている。
- 第5戦 スタート
- 優勝した#14 福住仁嶺(NTT docomo Business ROOKIE)
- 2位 #1 岩佐歩夢(TEAM MUGEN AUTOBACS)
- 3位 #6 太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
- 第5戦 表彰式
この大会をもってシーズン前半を終えた今シーズンのスーパーフォーミュラ。次は7月中旬に開催される第6戦富士大会となる。インターバルを経て、後半にはどのようなドラマを繰り広げるのか。見どころは尽きない。
フォトギャラリー
(文:島村元子 撮影:中村佳史)































