第4戦富士、STANLEY HRC PRELUDE-GTが逆転優勝!
PRELUDE-GTの初勝利に!
<GT500>
8月最初の週末となる1、2日。静岡・富士スピードウェイにおいてSUPER GT第4戦が開催された。スタート直後には複数の車両が関係する大きなアクシデントが発生し、赤旗中断からの再開となったが、リスタートでトップを奪い取った予選2位のNo.100 STANLEY HRC PRELUDE-GT(山本尚貴/牧野任祐)が、そのまま逃げ切り優勝を達成。今シーズンから投入されたPRELUDE-GTの初勝利に貢献するレースを披露している。
第3戦として開催を予定していたマレーシア・セパンでの一戦は、折からの中東情勢の影響を受けて延期扱いに。よって、SUPER GTのレース開催は、第2戦富士からおよそ3ヶ月ぶりとなる。予選日の富士は爽やかな夏の天気からスタート。気温31度、路面温度44度のなか、午前10時30分に公式練習が始まったが、これに先立ち「令和8年熊本地震」で被災された方や、犠牲者に対して哀悼の意を表して黙祷が捧げられた。
各車がコースインしてセットアップの確認作業等に勤しむなか、セッション終盤のGT500クラス専有走行枠でトップタイムをマークしたのは、No.17 Astemo HRC PRELUDE-GT(塚越広大/野村勇斗)。今年からGT500で戦う野村勇斗が一発の速さを見せて1分28秒770をマーク。これに、0.3秒遅れでNo. 8 #8 ARTA MUGEN HRC PRELUDE-GT(太田格之進/大津弘樹)が続く。デビュー戦以来、思うようなパフォーマンスを残せていなかったホンダ勢がインターバルを活かし、底上げを図ったと思われる。
午後に向けて気温、特に路面温度が50度超と大きく上昇したが、ノックアウト予選が始まるころにはピークが過ぎたのか、緩やかに数値が下がり始める。午後2時20分からGT300クラスの予選Q1が始まり、その後行なわれたGT500クラスのQ1では、気温33度、路面温度48度に。折しも鉛色の雲が広がって、ポツポツと雨が落ち始める。幸い、大きく崩れることもなく、また路面も十分に温まっていることから、スリックタイヤでのアタックが続けられた。
Q1でトップ通過を果たしたのは、またも17号車の野村。これに先立ち、8号車の大津弘樹、また100号車の山本尚貴らがトップタイムを更新したが、チェッカーが振らるなか、100号車からトップを奪取。ホンダ勢がトップ3を独占し、これに、No.37 Deloitte TOM’S GR Supra(笹原右京/ジュリアーノ・アレジ)の笹原が続いた。一方、ランキング暫定トップのNo.36 au TOM’S GR Supra(坪井翔/山下健太)は、サクセスウェイトの影響もあり、Q2進出ならず。しかしながら、総合11番手と戦闘力の高さをしっかりアピールしてみせた。
ポールポジションを決めるQ2に入ると、路面温度がさらに4度ほど下降。午後3時30分すぎに始まったセッションでは、まずターゲットタイムとしてNo.16 #16 ARTA MUGEN HRC PRELUDE-GT(野尻智紀/佐藤蓮)の佐藤がトップにつける。だが、これをNo.38 KeePer CERUMO GR Supra(大湯都史樹/小林利徠斗)の大湯が上回り、チェッカーまで残り30秒に迫るなか、100号車の牧野がトップに躍り出た。このまま確定かに思われたが、その直後に8号車の太田が1分26秒776の好タイムをマーク。100号車に0.302秒というギャップをつけて、シーズン初ポールポジショを獲得。またPRELUDE-GTにとっても初めてのトップタイムを刻むことになった。2位の100号車に続いたのは、17号車。ベテラン塚越が意地を見せて3番手につけ、ホンダ勢がトップ3を独占する予選を終えている。
- GT500クラス 予選ポールポジション #8 #8 ARTA MUGEN HRC PRELUDE-GT(太田格之進/大津弘樹)
- GT500クラス 予選2番手 #100 STANLEY HRC PRELUDE-GT(山本尚貴/牧野任祐)
- GT500クラス 予選3番手 #17 Astemo HRC PRELUDE-GT(塚越広大/野村勇斗)
翌日の決勝日は、やや蒸し暑さ先行の天気となる。一方で、午後から雨模様との予報が出ており、雨をもたらすような雲が湧き、正午からのウォームアップ走行直前から雨が降り始めた。大きく崩れることはなかったものの、その後、スタート進行を迎えることには本降りの雨に変わってしまう。
グリッド上では、ドライタイヤからウェットタイヤへ交換する作業風景が広がったが、およそ10分で雨が止み、またたく間に強い日差しが照りつけるまでに。路面こそ濡れていたが、各車はドライタイヤでの走行が可能と判断。グリッドを離れる前に再びメカニックがタイヤ交換を行なうなど、慌ただしい時間が流れた。
一方、コース上の路面コンディションを考慮し、レースは通常のフォーメーションラップではなく、セーフティカー(SC)先導によるレース開始に変更される。午後1時30分、突然の降雨によって気温は32度、路面温度においては38度まで下がることになったが、全車がグリッドを離れ、SC先導のなか周回を重ねる。
3周走行時にSCのルーフライトが消灯。4周目からレーシングスピードによる戦いが幕を開けた。しかし、予選7番手のNo.64 Modulo HRC PRELUDE-GT(大草りき/イゴール・オオムラ・フラガ)のペースが上がらず、その後方からスピードを上げてきたNo.23 MOTUL Niterra Z(千代勝正/高星明誠)とNo. 12 TRS IMPUL with SDG Z(平峰一貴/ベルトラン・バゲット)の2台が接触。態勢を崩した23号車が64号車を衝く形となり、64号車がメインストレート上で宙を舞い、ピットウォール寄りに叩きつけられるように着地。大クラッシュとなった。当然ながら即座に赤旗中断となり、ドライバーの救出はじめ一連の作業が行なわれ、午後2時15分に再びSC先導によるレースが再開された。
時間が経過したこともあり、完全ドライコンディションへと回復したコース上では、10周目にリスタートを迎えると、2番手につける100号車が一気にホールショットを奪ってトップに浮上。8号車も懸命に追うが、その後は2番手で走行を強いられる。一方、17号車を抜いて3番手に上がったのは、38号車。しかし、逆転直後の22周終わりでルーティンのピットインを実施。これ以降、各車もピットへとクルマを戻してルーティン作業に取り掛かるシーンが見られた。
8号車は、24周終わりでピットイン。するとトップの100号車はその翌周にピットへと戻り、8号車の前でコース復帰に成功。逃げる100号車に対し、逆に8号車は29周終わりでピット作業を行なった37号車に先行を許してしまう。以降、37号車と8号車による激しい攻防が続き、これで100号車はマージンを築くことに成功したかに思われた。
残り15周を切って、3番手の8号車が37号車との差を縮めると、またたく間に2台がテール・トゥ・ノーズに。そして、59周目のダンロップコーナーで8号車が逆転を決め、2位へとポジションアップを果たす。チェッカーまで残り5周となるなか、8号車は毎ラップ1秒ずつ100号車との差を詰める猛攻。100号車と8号車が1.078秒、8号車と37号車が1.014秒と稀に見る大接戦で迎えたファイナルラップでは、後方の2台が猛追する底力を見せたが、トップ100号車も意地を見せてトップを死守。最後まで続いた息詰まる戦いは100号車に軍配が上がり、PRELUDE-GTでの初勝利を果たした。100号車にとっても昨シーズン第7戦以来となる勝利となった。2位には8号車が続き、ホンダ勢がワン・ツーリにッシュを達成。3位には、37号車が続き、3台ともシーズン初の表彰台に立っている。
- GT500クラス セーフティーカーラン後のリスタート
- GT500クラス優勝 #100 STANLEY HRC PRELUDE-GT(山本尚貴/牧野任祐)
- GT500クラス 2位 #8 #8 ARTA MUGEN HRC PRELUDE-GT(太田格之進/大津弘樹)
- GT500クラス 3位 #37 Deloitte TOM’S GR Supra(笹原右京/ジュリアーノ・アレジ)
- GT500クラス 表彰式
<GT300>
GT300クラスでは、今大会からドライバー編成を変更したNo.45 PONOS FERRARI 296 EVO(篠原拓朗/川端伸太朗)が好走。まず、公式練習でトップチムをマークし、Q1も同様にトップ通過を果たす。そして、Q2になってもその流れは変わらず。最速タイムをマークし、文句なしのクラスポールポジションを手にすることとなった。
予選2番手に続いたのは、タイヤパフォーマンスを最大限引き出すことに成功したNo.60 Syntium LMcorsa LC500 GT(吉本大樹/河野駿佑)。これに僅差でNo. 6 UNI-ROBO BLUEGRASS FERRARI(片山義章/ニクラス・クルッテン)が続く一方、序盤2戦で好結果を残している車両はサクセスウェイトの影響もあってか、苦戦。後方からの追い上げを狙うことになった。
- GT300クラス 予選ポールポジション #45 PONOS FERRARI 296 EVO(篠原拓朗/川端伸太朗)
- GT300クラス 予選2番手 #60 Syntium LMcorsa LC500 GT(吉本大樹/河野駿佑)
- GT300クラス 予選3番手 #6 UNI-ROBO BLUEGRASS FERRARI(片山義章/ニクラス・クルッテン)
決勝日はスタートを控えたダミーグリッド上において不安定な天候の影響を受け、ウェットタイヤを選択する車両が2台現れる。うち1台は、なんとしても結果が欲しいNo.61 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝)。前回の富士ではポールポジションを手にしながらも、決勝ではタイヤトラブルで結果を残せなかった。それゆえ、先が読めないコンディションのなか、まずはウェットタイヤでマージンを稼ぐ戦略を立てたと思われる。
レース前の降雨により、完全に路面が濡れた状態になったことから、レースはセーフティカーが先導して幕を開け、4周目からのレーシングスピードによるレースが始まった。しかし、メインストレートで複数のGT500車両が関係するアクシデントが発生。赤旗中断後、およそ30分後にレース再開となったが、この間にすっかり路面も乾き、ウェットタイヤでの走行は極めて困難な状態に。61号車はまたしても好機に恵まれず、リスタート後にドライタイヤへの交換を強いられた。
クラスポールからスタートした45号車は安定したペースで周回を重ね、これを60号車が追う展開。しかし、後方からNo.52 Green Brave GR Supra GT(吉田広樹/野中誠太)がハイペースでポジションアップを果たしていく。
クラストップを走る45号車が31周終わりでピットインし、給油やドライバー交代に加え、4輪タイヤ交換を済ませてコースに復帰すると、これを追うように後続車も次々とピットに帰還。そんななか、猛追していた52号車はタイミングをずらし、41周終わりでピットへ。すると、無交換ではなく前輪の2本のみ交換する”時短”の作業でコースへと復帰。見事クラストップを奪取する。背後にはそれまでトップを走っていた45号車が迫り、しばし激しい攻防戦を繰り広げたが、52号車は巧みなコントローを見せ、次第に45号車を引き離していった。
逆に45号車はレース終盤になって、後続車両からの猛追に苦戦。No. 7 CARGUY Ferrari 296 GT3 EVO(ザック・オサリバン/梅垣 清)やNo.32 ENEOS X PRIME AMG GT3(石浦宏明/鈴木斗輝哉)からの猛追を許し、ポジションダウンに甘んじた。
結果、最後は52号車が後続におよそ8秒という大差をつけてトップチェッカー。3年ぶりの勝利を味わった。2位に続いたのは、32号車。ルーキーの鈴木にとって、また今年からGT300クラスに参戦する石浦にとっても初のクラス2位を手にしている。また7号車も今シーズン初めての表彰台に立ち、喜びを分かち合うこととなった。
- GT300クラス セーフティーカーラン後のリスタート
- GT300クラス 優勝 #52 Green Brave GR Supra GT(吉田広樹/野中誠太)
- GT300クラス 2位 #32 ENEOS X PRIME AMG GT3(石浦宏明/鈴木斗輝哉)
- GT300クラス 3位 #7 CARGUY Ferrari 296 GT3 EVO(ザック・オサリバン/梅垣 清)
- GT300クラス 表彰式
3ヶ月のインターバルを経て、8月は富士に続いて月末には第5戦が待ち受ける。好天ならば今回の戦いよりも厳しい暑さになる可能性が高い。またしても不確定要素の多い展開となるか否か。8月22、23日、三重・鈴鹿サーキットを舞台に、タフな戦いが繰り広げられる。
フォトギャラリー
(文:島村元子 撮影:中村佳史)































