SUPER GT 第3戦 鈴鹿サーキット

SUPER GT 第3戦 鈴鹿サーキット

新型Z初勝利。実現したのはCRAFTSPORTS MOTUL Z!

<GT500>
5月28、29日に鈴鹿サーキットにおいてSUPER GT第3戦が開催され、夏日の中で300kmの戦いを制したのは#3 CRAFTSPORTS MOTUL Z(千代勝正/高星明誠組)。前回の富士での大クラッシュから不死鳥の如く見事な復活を果たし、力強い戦いを見せて勝利を掴み取っている。

予選日から快晴の天気に恵まれた鈴鹿サーキット。ただ、気温、路面温度の上昇がクルマのセットアップやタイヤチョイスを悩ますことになった。ノックアウト予選では、朝の公式練習でトップタイムをマークした#23 MOTUL AUTECH Z(松田次生/ロニー・クインタレッリ組)がQ1敗退。逆に23号車と同じミシュランタイヤを装着する#3 CRAFTSPORTS MOTUL Z(千代勝正/高星明誠組)がQ1をトップで通過する。続くQ2で気を吐いたのが#19 WedsSport ADVAN GR Supra(国本雄資/阪口晴南組)。気温は28度と変わ理なかったが、路面温度がQ1より6度ほど下がり38度となる中、1分44秒112と鈴鹿のコースレコードを更新するタイムでトップを奪取。前回の富士大会から連続ポールポジションを手にした。なお、アタックを担当した国本にとっては自身初のGT500ポールでもあった。2番手には#37 KeePer TOM’S GR Supra(サッシャ・フェネストラズ/宮田莉朋組)、3番手には3号車が続いた。

 

GT500クラス 予選ポールポジション #19 WedsSport ADVAN GR Supra(国本 雄資/阪口 晴南)

GT500クラス 予選ポールポジション #19 WedsSport ADVAN GR Supra(国本 雄資/阪口 晴南)

 

決勝日はさらに気温が上がって夏日の決戦に。気温30度、路面温度においては50度まで上昇する。スタート直後から勝負をかけたのが3号車。タイヤの温まりの良さを活かし、37号車をパスすると130Rの飛び込みで19号車を攻略。すると、37号車も続くシケイン進入で19号車逆転を果たす。

 

GT500クラススタート

GT500クラススタート

 

10周目、シケインでGT300車両がクラッシュ、すぐさまセーフティカーがコースインする。この時点で3号車、37号車に次いで3番手には17号車が浮上。リスタート後、程なくしてまず37号車がルーティンのピットインを行うも、作業で若干時間を要し、翌周にピットインした17号車の先行を許すことに。一方の3号車は17号車の作業を見届けるかのようにピットへ戻り、先に作業を終えた2台よりも早い時間でコース復帰を果たし、そのまま実質トップをキープした。

レースは27周目に2度目のFCY(フルコースイエロー)が導入されたが、トップ3号車は後続に15秒ほどのリードを保ち、快調そのもの。だがその後、39周目には3度目となるFCYがSCランへと切り替わり、上位3台の差が一気に縮まる事態となる。レース開始早々からコースアウトや接触などで何度もFCYやSCが導入され、落ち着きのない展開となったレースは、残り9周でのスプリントレースへと様相を変えることに。だが、43周終わりのリスタートを鮮やかに決めた3号車は、あっという間に2位との差を広げ、5秒近いマージンを築き上げる。逆に2番手17号車は背後の37号車を意識する形となり、逃げ切りを許す形でレースは幕を下ろすことになった。

千代、高星の新コンビによるシーズン初優勝は二人にとってもGT500での初金星となり、また、新型Zによる初勝利を達成するという価値あるトップチェッカーとなっている。

 

GT500クラス優勝 #3 CRAFTSPORTS MOTUL Z(千代 勝正/高星 明誠)

GT500クラス優勝 #3 CRAFTSPORTS MOTUL Z(千代 勝正/高星 明誠)

 

GT500クラス2位 #17 Astemo NSX-GT(塚越 広大/松下 信治)

GT500クラス2位 #17 Astemo NSX-GT(塚越 広大/松下 信治)

 

GT500クラス3位 #37 KeePer TOM'S GR Supra(サッシャ・フェネストラズ/宮田 莉朋)

GT500クラス3位 #37 KeePer TOM’S GR Supra(サッシャ・フェネストラズ/宮田 莉朋)

 

GT500クラス優勝 #3 CRAFTSPORTS MOTUL Z(千代 勝正/島田 次郎 監督/高星 明誠)

GT500クラス優勝 #3 CRAFTSPORTS MOTUL Z(千代 勝正/島田 次郎 監督/高星 明誠)

 

GT500クラス表彰式

GT500クラス表彰式

 

<GT300>
開幕戦から続く#61 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝組)のポールポジション獲得に期待が集まったGT300クラスの予選。だが、アタックラップでまさかのスロー走行。原因はターボトラブルで、翌日のレースを考慮してアタック中断を敢行したという。代わってポールポジションを手にしたのは、前回の覇者#10 TANAX GAINER GT-R(富田竜一郎/大草りき組)。富士では富田のアタックでトップタイムをマークしたが、今回はルーキーの大草が大仕事をやってのけた。ところが、再車検でまさかの不合格。最低地上高の違反でタイムが抹消され、最後尾スタート扱いとなる。結果、#7 Studie BMW M4(荒 聖治/近藤翼組)がシーズン初ポールを獲得。ルーキーの近藤にとっても初めてのポールポジションだった。2番手にはベテランコンビの#96 K-tunes RC F GT3(新田守男/高木真一組)、そして3番手にはランキングトップの#56 リアライズ 日産メカニックチャレンジ GT-R(藤波清斗/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ組)が続いた。

迎えた決勝でも7号車の勢いは止まらない。トップ3はFCYやSCランの影響を受けず、順調に周回を重ねていく。一方、落ち着きのないレースを味方につけようと、中段グループからはSC中のピットレーンオープンのタイミングでピットインするクルマが現れた。規定周回数からするとこの時点ではドライバー交代できないが、タイヤ交換を一足先に済ませてこの先の作業時間を短くする戦略を採り、ポジションアップを目指そうという狙いだった。逆に、ルーティンのピット作業でタイヤ無交換を選択したチームのうち、#5 マッハ車検 エアバスター MC86 マッハ号(冨林勇佑/平木玲次組)は戦略が奏功。レース後半に入るとポジションアップを果たし、2度目のFCY解除後には3番手まで浮上する。

 

GT300クラススタート

GT300クラススタート

 

トップ7号車はリヤタイヤのみを交換、その背後には変則的なピット作業でポジションアップを果たした#52 埼玉トヨペットGB GR Supra GT(吉田広樹/川合孝汰組)がつける。そしてこの2台を5号車が追い立てる形でトップ3を形成。さらに66kgとダントツのサクセスウェイトを搭載する56号車が底力を見せ、その後ろでチャンス到来を待つ。そんな中、3度目のFCYがSCランへと切り替わり、リスタートを目前に新たな展開が訪れる。なんと2番手の52号車がシケインで痛恨のオーバーラン。労せずして56号車が3番手に浮上、一方で、チェッカーを目指して逃げる7号車はじわりじわりと後続を引き離し、最後は10秒近い大差をつけてフィニッシュ。今年投入されたBMW M4 GT3が初勝利を飾った。なお、Aドライバーの荒聖治は、GT500での優勝経験はあるものの、GT300では初優勝。さらに、56号車に攻めたてられながらも2番手を死守した5号車も今シーズン初表彰台。そして、3位チェッカーの56号車はなおもポイントを計上し、次回のサクセスウェイトは99kgへ! ダントツのランキングトップでシーズン中盤を迎えることになる。

 

GT300クラス優勝 #7 Studie BMW M4(荒 聖治/近藤 翼)

GT300クラス優勝 #7 Studie BMW M4(荒 聖治/近藤 翼)

 

GT300クラス2位 #5 マッハ車検 エアバスター MC86 マッハ号(冨林 勇佑/平木 玲次)

GT300クラス2位 #5 マッハ車検 エアバスター MC86 マッハ号(冨林 勇佑/平木 玲次)

 

GT300クラス3位 #56 リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R(藤波 清斗/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)

GT300クラス3位 #56 リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R(藤波 清斗/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)

 

GT300クラス優勝 #7 Studie BMW M4(荒 聖治/鈴木 康昭 監督/近藤 翼)

GT300クラス優勝 #7 Studie BMW M4(荒 聖治/鈴木 康昭 監督/近藤 翼)

 

GT300クラス表彰式

GT300クラス表彰式

 

GT500クラス決勝正式結果
GT300クラス決勝正式結果

(文:島村元子 写真提供 GTA)