スーパーフォーミュラ 第3・4戦 もてぎ レポート&フォトギャラリー

スーパーフォーミュラ 第3・4戦 もてぎ レポート&フォトギャラリー

もてぎ大会、初日第3戦のウィナーは牧野任祐

4月19日、栃木・モビリティリゾートもてぎにおいて、全日本スーパーフォーミュラ選手権のもてぎ大会が開催され、この日は第3戦の予選と決勝が行なわれた。レースは予選でポールポジションを手にしたしたNo. 5 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が巧みなレース運びを見せて、完勝。ポール・トゥ・ウィンを達成した。

春の陽気から一気に初夏を思わせるような天気に恵まれたもてぎ。気温の上昇は必至であったため、午前の予選から各チームとも決勝を意識しての走行を開始することとなった。また、もてぎは比較的距離が短く、レイアウト的にもストップ&コ゚ーで抜きにくいコースであるため、予選でのポジションが決勝にも大きく影響を与えることから、ノックアウト予選も僅差での激しいアタック合戦が繰り広げられた。

Q1・A組の予選では、第2戦を制した牧野がトップタイムをマーク。これにディフェンディングチャンピオンのNo.1 坪井 翔(VANTELIN TEAM TOMʼS)、そして前回の鈴鹿で最多ポールポジション獲得記録を樹立したNo.16 野尻智紀(TEAM MUGEN)が続いた。続く、Q1・B組予選は、今シーズンデビューを果たしたばかりのルーキー、No.65 イゴール・オオムラ・フラガ(PONOS NAKAJIMA RACING)が猛者を相手にトップ通過し、存在感をしかとアピール。これに、No.39 大湯都史樹(SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)、さらに前日のフリー走行2回目でトップタイムをマークしたNo. 3 山下健太(KONDO RACING)という結果になった。

Q1ノックアウトを勝ち抜いた12台によるQ2がスタート。7分間のタイムアタックで早速にコースしたのは、野尻。ライバルとは異なるアプローチで早めのアタックに臨んだが、思うようにタイムを伸ばせず。最終的に8番手の結果に甘んじた。一方、チェッカーまで残り30秒の時点で最速タイムを叩き出したのが、フラガ。ルーキーによるポールポジションが確定するかと思われたが、牧野が0.134秒上回るタイムをマーク。また、チェッカーが出されるなか、牧野の僚友であるNo. 6 太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が2番手に浮上。これにより、TEAM DANDELIONがフロントロウを独占。開幕戦からの好調さを証明する結果となった。一方、坪井は予選でのミスが響き、まさかの12番手。決勝ペースに定評があるだけに、決勝でどこまでポジションを上げてくるのか、注目が集まった。

 

午後に入り、気温30度、路面温度41度まで上昇したもてぎ。すっかり夏の一戦となった33周の戦いは、チームメイト同士による一触触発のバトルが見られる”熱い”戦いとなった。

クリアスタートが切られるなか、絶妙な蹴り出しと加速を見せたフラガが1コーナー問込みですぐさま太田を攻略。2番手に浮上する。一方、後方では接触のアクシデントが発生。これにより、No.64 佐藤 蓮(PONOS NAKAJIMA RACING)とNo.39 大湯都史樹(SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)の2台が早々に戦線離脱となる。また、アクシデントを受け、セーフティカーが導入され、レースは3周終了の時点でリスタートされた。トップは逃げる牧野を先頭に、フラガを猛追する太田、そして間髪を入れずNo.15 岩佐歩夢(TEAM MUGEN)、山下、No. 8 福住仁嶺(Kids com Team KCMG)、さらにNo.16 野尻智紀(TEAM MUGEN)と続く。

そんななか、ピット作業が可能となる10周を迎えると、真っ先に太田がピットへと帰還。これに山下、野尻ら計7台がタイヤ交換を行ない、コースへと戻ると、翌周には6台がピットインする。なお、前方の車両が次々とピットインし、前方がクリアになったことを最大限活かす走りをしたのが坪井。暫定4番手から自己ベストタイムをマークしながら、”見えない敵”とのギャップを詰める走りを披露した。

トップ牧野がピットを目指したのは17周終了時。3番手を走っていた岩佐もこれに続く。この1周前にはフラガもピットインを済ませていたが、牧野がコース復帰するときには太田とのポジション争いが勃発。白煙を上げて1コーナーに向かった牧野を太田が逆転し、作業を終えた中でのトップに立った。そして20周終わりで坪井がピットイン。これでコース上の全車がタイヤ交換を終了。あとはひたすらチェッカーを目指すことになる。

レースは22周目に入り、トップ太田とこれを追う牧野のテール・トゥ・ノーズに。さらに、勢いある牧野は太田とのサイド・バイ・サイドを展開。タイヤを軽く接触しながらの好バトルのなか、ついに逆転を決めて再びトップへと躍り出ると、ペースアップし、太田を引き離し始めた。逆に牧野の後塵を拝する太田は、背後からハイペースで迫るフラガを意識せざるを得なくなり、2位死守の走りへと切り替えてチェッカーを目指す。

レースは終盤に入り、トップ牧野は2番手太田に4秒近い差をつけて快走。一方、4番手の岩佐がまだ存分に残るOTSを使っての逆転を目指す走りを続けていた。ところが、その矢先、マシントラブルに見舞われた岩佐は失速し、そのままグラベルに停止。まさかの戦線離脱となる。その後方では、5番手になった坪井が前を走るNo. 8 福住仁嶺(Kids com Team KCMG)を激しく追い立てると、OTSを駆使して逆転に成功。さすがに3位フラガとの差は8秒強と大きく、ポジションを入れ替えるまでには至らなかったが、4位でチェッカーを受けるという粘り強さを見せた。

文句なしのレース展開でポール・トゥ・ウィンを達成した牧野。早くもシーズン2勝目、自身通算4勝目を挙げている。2位には太田。チームにとって、うれしいワン・ツーフィニッシュを飾っている。

翌日の第4戦も午前に予選、午後に決勝を実施。初日よりも4周多い37周でのレースは、ピットインのタイミングに制限を設けない形で行なわれる。

 

もてぎ戦、2日目は太田格之進が戦いを制す!

4月20日、前日に続きモビリティリゾートもてぎを舞台に、全日本スーパーフォーミュラ選手権の第4戦予選、決勝が行なわれた。予選2番手スタートのNo. 6 太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が強さ、速さを遺憾なく発揮してシーズン2勝目を達成している。

前日、気温がぐんぐん上昇し、初夏を思わせるような空の下で戦いを繰り広げたスーパーフォーミュラ。しかし、ダブルヘッダー2日目のこの日は、朝から終日曇天模様となり、大きくコンディションが変わることになった。

前日とは異なるセットアップを投入して迎えることになったノックアウト予選。気温20度、路面温度24度のなか、まず、Q1・A組には前日の決勝で2位になったNo. 6 太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、同3位のNo.65 イゴール・オオムラ・フラガ(PONOS NAKAJIMA RACING)が出走。これにチャンピオン経験を持つNo.16 野尻智紀(TEAM MUGEN)や前日、粘りの猛追撃を披露したNo.1 坪井 翔(VANTELIN TEAM TOMʼS)もアタックに挑んだ。このなかでトップタイムをマークしたのは、太田。これに0.013秒差でフラガが続いたが、野尻は4番手どまり。さらに坪井にいたっては、タイムを伸ばせずQ1敗退を喫する結果に甘んじた。

続くQ1・B組には、前日のウィナーであるNo. 5 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、レース終盤にトラブルで戦列を去ったNo.15 岩佐歩夢(TEAM MUGEN)らが出走。牧野がトップタイムをマークすると、岩佐も0.023秒の僅差で2位通過を果たし、Q2に臨んだ。

7分間で競うQ2は、スタートと同時に全車がコースイン。タイヤのウォームアップを進めるなか、ルーキーのNo.50 小出峻(San-Ei Gen with B-Max)は一旦ピットインしたが、そのなかでフラガが真っ先にアタックを開始、まず1分32秒199のタイムでトップに立った。だが、牧野がすぐさま1分31秒963で逆転。背後から各車も次々とチェッカーを受けるものの、牧野のタイムには及ばない。そんななか、各セクターで最速タイムを刻み続けた山下が1分31秒399をマーク、トップを奪取。その直後の太田も牧野のタイムを上回ったが、山下には0.504秒という大差をつけられ2番手に甘んじた。結果、山下が2024年第5戦もてぎ以来、通算3回目のポールポジションを獲得することになった。

午後に入っても曇天模様は変わらず。第4戦の決戦は午後2時55分にフォーメーションラップがスタートし、37周の戦いで幕が上がった。2019年を最後に優勝から遠ざかっている山下はクリアスタートを決めて太田からの猛プッシュもブロック、レースを牽引する。ところが、後方で2台が接触するハプニングが発生。結果、セーフティカーがコースインする事態となったため、多くの車両がピットへと帰還してタイヤ交換をする戦略を敢行する。というのも、今日のレースは前日とは異なり、ピットウィンドウに制限を設けていないため。いち早くタイヤ交換を済ませ、あとは逃げ切りのレースをしようと、山下を先頭に次々とクルマがピットに戻ってくる。その山下がピットロード出口へと向かうなか、これを押さえたのが、太田。まさに鼻の差で前に出るとタイヤ交換組としてのトップでコース復帰を果たした。負けじと山下も太田に喰らいついての走行を見せたが、タイムアップできずズルズルとポジションダウン。なんと右リヤタイヤが正確に装着されておらず、痛恨のピットイン。久々の優勝の夢が潰えた。

ステイアウトを選んだ中でのトップは牧野。これに僅差で予選9番手スタートの岩佐が続き、その後方にはQ1敗退から猛追を見せる坪井が続く。レース中盤は3台による膠着状態で周回を重ねることになったが、その後方からは全車タイヤ交換後にトップを目論む太田がじわりじわりとペースアップ。このあとピット作業が残る牧野に対し、プレッシャーをかけ続ける。そんななか、16周目走行中の坪井にギアトラブルが発生し、ポジションダウン。そのまましばし走行を続けたが、策が見つからず緊急ピットインすることに。作業に時間がかかってしまい、ポイント圏外へと追いやられたが、それでも再びコース復帰してチェッカーを目指すことになった。

折り返しを過ぎ、23周終わりで牧野がピットイン。タイヤ交換済みのなかで3番手で復帰すると、すぐさま前方車両を逆転してトップの太田と事実上の”ワン・ツー”を構築する。一方の岩佐は28周終わりでピットイン。これで正式に太田がリードする形でトップに立ち、牧野、そして岩佐が牧野を追って終盤へと突入する。

残り5周を切るなか、トップ太田と牧野の差がじわじわと縮むものの、太田はスタートからわずか1周で交換したタイヤで見事なマネージメントを披露。牧野を牽制し、余裕を感じさせるリードでレースそのものをコントロールする。逆に牧野はOTSをしっかりと残して猛追する岩佐との駆け引きに注意を要する状態。最後は0.5秒近くまで詰め寄られることになったが、なんとか2位を死守し、前日に続いてチームでのワン・ツーフィニッシュを達成した。なお、同チームによる連戦でのワン・ツーフィニッシュは、2014々最終戦〜2015年開幕戦で達成したチームTOM’S以来となる。一方、岩佐は猛追叶わず、3位に甘んじたが、前日はトラブルで戦線離脱していたこともあり、今日は納得いく3位表彰台で笑顔を炸裂させていた。

開幕戦からダブルヘッダーでの戦いが続いたスーパーフォーミュラだが、5月17、18日に開催される第5戦大分・オートポリスは通常のフォーマットで実施予定。17日に予選、そして18日に決勝を行なう。開幕から快走を続ける牧野、太田を擁するDOCOMO TEAM DANDELION RACINGにストップをかけるのは、果たしてどのチームになるのか。

フォトギャラリー

 

(文:島村元子 撮影:中村佳史)