SUPER GT 第1戦 岡山 レポート&フォトギャラリー

SUPER GT 第1戦 岡山 レポート&フォトギャラリー

25シーズンの初戦、雨&荒れ模様のなかau TOM’S GR Supraが岡山連覇達成

<GT500>
待望の2025 SUPER GTシリーズが開幕。4月12、13日は岡山国際サーキットにおいて第1戦の戦い「OKAYAMA GT300kmレース」が行なわれ、予選2位からスタートしたNo.1 au TOM’S GR Supra(坪井翔/山下健太)が雨や荒れたレース展開をものともせず、優勝を果たした。

オフシーズンのテストを経て、いよいよシーズンがスタートしたSUPER GT。今シーズンはドライバー移籍等、大きな変化は見られなかったが、新コンビ結成のチームもあり、それぞれのパフォーマンスにも注目が集まる。一方、昨シーズン新たに導入された予選でのQ1、Q2のタイム合算でポールポジションを決めるという方法を見直し、今シーズンは再びノックアウト方式が復活。ただし、Q1からQ2に進出できる台数はこれまでの上位8台から10台へと台数が増えることになった。

予選日は春の穏やかな天候に恵まれた岡山国際サーキット。午前中の公式練習でトップタイムをマークしたのは、ディフェンディングチャンピオンのNo.1 au TOM’S GR Supra(坪井翔/山下健太)。今シーズンは、坪井自身、GT史上初の3連覇がかかる最初の戦いで弾みをつけた形となった。

午後からの予選に向け、気温、路面温度が上昇。気温23度、路面温度31度のコンディションでQ1が始まると、下馬評どおり1号車の山下がトップタイムをマークする。これに、No.16 ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #16(大津弘樹/佐藤蓮)、さらにNo.14 ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/福住仁嶺)が続き、ポールポジションが確定するQ2へと進んだ。そのQ2では、14号車の福住が気を吐く。1号車も坪井がひと足先にコースレコード更新をやってのけ、これでポールポジション確定かと思われたその矢先、14号車が僅差でトップを奪取。自身6回目、そしてトヨタへ移籍後初めてとなるポールポジションを手にしている。また、2番手14号車に続いたのは、No.24 リアライズコーポレーション ADVAN Z(松田次生/名取鉄平)。ベテラン松田は、ライバルたちが早々にコースインするのを尻目にしばしピットで待機。満を持してコースインすると、絶妙なタイミングでクリアラップを決めてみせた。一方、ホンダ勢トップとなったのは、予選4番手のNo.100 STANLEY CIVIC TYPE R-GT(山本尚貴/牧野任祐)だった。

予選日の夜遅くから雨模様となったサーキット周辺。当初の天気予報では、午後の決勝に向けて天候が回復すると言われていたが、鉛色の空が重くのしかかり、また時折強風が吹き付ける厳しい寒さに見舞われた。また、一度は上がったかに思われた雨が上空の不安定な大気の影響を受けて突如雨脚を強めるなど、決勝では、先の読めない天候に悩まされることになった。

結果として、決勝直前に行なわれる地元警察によるパレードラップもキャンセルに。そして、午後1時10分、セーフティカースタートで第1戦が幕を開けると、5周目から実質レースが始まった。ところが、すぐさま2コーナー先で3台が絡むクラッシュが発生。スピンした車両を避けたつもりが接触、もらい事故のような形で戦列を去る。このレースアクシデントを受け、FROが出動するも、のちに赤旗が提示され、レースは一時中断。約30分後にようやくリスタートを迎える。冷えたタイヤながら、レースが再開するとあちこちで激しいポジション争いを展開。その後もSCランの導入、さらにFCYの適応等、ハプニングやトラブルが多発した。

レースは3分の1を消化する前に、雨もほぼ上がり、路面からの水煙も減り、改善の兆しを見せ始める。これに合わせたかのように、コース上でもポジションの入れ替えが頻繁に起こったが、それでもなお、トップを快走する1号車、それを追う14号車の態勢は変わらず。なかでも1号車は2位以下に大量リードを奪う快走を見せる。そんななか、上位陣で最初いルーティン作業を済ませたのが、100号車。ところが、ピット作業でタイヤ交換に時間を要し、タイムロス。ポジションアップのチャンスを逃した。さらに、予選3位と好調だった24号車も、ブレーキトラブルに見舞われてガレージイン。修復をしてその後コース復帰を果たしたが、トップとは大きく差がついてしまった。

ドライアップする方向ながら、まだスリックタイヤを装着するまでには至らない路面を考慮してか、大半のチームはレース折り返しを過ぎてなお周回を重ねていたが、46周を過ぎて1台、また1台とピットへ。しかし、足元は引き続きウェットタイヤを装着し、コースに復帰する。トップ争いでは、2番手の14号車が51周終わりでピットへ。そしてトップ1号車がその翌周ピットに戻ると、14号車を上回る作業時間でコースに復帰。誰にもトップを渡さず、レース後半に突入する。

レースは55周終わりで、またも100号車がひと足先にスリックタイヤへと交換。これを見て、ライバルたちもタイヤ交換を行なうなか、コース上では、グラベルに停車した車両から出火のアクシデントが発生。再びFCYからSCランへと切り替わる。レース終盤になって、各車のギャップが消滅。最後の最後になって、1号車と2番手14号車の攻防戦が再び繰り広げられることになったが、残り10周でレースが再開すると、1号車は持てる力を存分に発揮。あっという間に14号車との差を広げてレースをコントロール。荒れた戦いのなかでも”我が道”を突き進むような強さで優勝を果たした。1号車にとっては、昨シーズンに続いての岡山2連覇となっている。2位14号車に続いたのは、No.39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra(関口雄飛/サッシャ・フェネストラズ)。最後尾スタートながら、怒涛の追い上げを見せて4位でフィニッシュ。さらに、3番手でチェッカーを受けた車両がタイムペナルティを受けたため、ポジションが繰り上がり、残る表彰台の一角を掴んだ。

 

<GT300>
新規チームの参戦はじめ、話題抱負な開幕戦となったGT300クラス。公式練習では、No.61 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝)がトップタイムをマークしたが、予選はライバルも負けじと奮闘した。Q1トップタイムは地元岡山のチームNo.6 UNI-ROBO BLUEGRASS FERRARI(片山義章/ロベルト・メリ・ムンタン)。だが、続くQ2で、大逆転を見せたのがNo.4 グッドスマイル 初音ミク AMG(谷口信輝/片岡龍也)。ひと足先にトップにつけていたNo.777 D’station Vantage GT3(藤井誠暢/チャーリー・ファグ)を0.116秒上回り、アタックを担当した片岡は2017年以来、チームとしては2年ぶりのクラスポールをもぎ取った。

GT500がSCランからのレーススタートを切った直後、GT300クラスでは、予選2番手No.777 D’station Vantage GT3(藤井誠暢/チャーリー・ファグ)が早速4号車を攻略。だが、赤旗中断後に4号車がペースを上げて、攻防戦を展開するなかで接触が発生する。結果、777号車はグラベルへとクルマを止め、一方の4号車にはのちにドライブするーペナルティが課された。これにより、代わってクラストップに立ったのは、予選4番手のNo.65 LEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/菅波冬悟)。着実な速さ、安定感ある走りでクラストップをキープし、レース後半へと突入した。

65号車はGT300クラスの43周目にピットイン。まだ路面が濡れていたこともあり、タイヤ交換を行なわずコースへと復帰。一方、ペナルティを受けて後退していた4号車は、ルーティンのピット作業でスリックタイヤへの交換を敢行。これに刺激を受けてか、ライバルたちも続々スリックタイヤへと交換し始める。すると、65号車もピットへと帰還。足元にはスリックタイヤが装着され、再びトップを目指した。

レースはGT300クラスの64周目を迎えるなかでFCYが導入される。GT500クラス車両がコースアウトの末にグラベルストップしたのが理由だったが、その後、SCへと切り替わったため、結果的に各車のギャップがほぼ消滅。残り10周でのスプリントレースで再開すると、クラストップに立っていたNo.18 UPGARAGE AMG GT3(小林崇志/野村勇斗)と、猛追の末に2番手まで復帰していた65号車の一騎打ちに。ギリギリの攻防戦を繰り広げるなか、サイド・バイ・サイドとなり、接触。65号車はコースに留まるも、18号車は押し出されるようにドロップアウト。これを受けて、65号車にはレース後にタイムが加算される5秒のタイムペナルティがすぐ課せられた。

この5秒を帳消しにするために、その後も65号車はペースを落とすことなく力走。このままトップでチェッカーを受けた。結果、ペナルティのタイム加算後もトップを死守することに成功した。2位に続いたのは、No.26 ANESTS IWATA RC F GT3(イゴール・オオムラ・フラガ/安田裕信)だったが、その差は9.7秒というものだった。また、3位にはNo.56 リアライズ日産メカニックチャレンジGT-R(ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ/平手晃平)が続き、FIA GT3車両勢が表彰台を独占する結果となった。

不安定な天候のなか、レース自体も荒れ模様となった開幕戦。続く第2戦はゴールデンウィーク中に富士スピードウェイで開催される。3時間という長丁場の激闘を制するのは、果たしてどのチームになるのだろうか。

 

フォトギャラリー

(文:島村元子 撮影:中村佳史)