SUPER GT 第2戦 富士 レポート&フォトギャラリー

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第2戦富士、KeePer CERUMO GR Supraがポール・トゥ・ウィンで3時間レースを制す!

<GT500>
今シーズンの開幕戦からわずか3週間。ゴールデンウィークならではの賑わいを見せるなか、5月3、4日に静岡・富士スピードウェイにおいて第2戦「FUJI GT Round2 FUJI GT 3Hours RACE GW SPECIAL」が行なわれ、シーズン初となる3時間の長い戦いは、ポールポジションからスタートを切ったNo.38 KeePer CERUMO GR Supra(石浦宏明/大湯都史樹)がレース中も安定感あふれる力強いレース運びを見せ、独走で優勝。石浦、大湯コンビによる待望の初優勝を遂げている。

冷たい雨に見舞われ、波乱の結末で幕を下ろしたシーズン開幕の岡山大会。第2戦富士での一戦は、初日の予選日からやや冷え込みはあったものの、日中は青空があたり一面に広がる好天気に恵まれ、霊峰富士も連日雄大は姿を惜しみなく披露した。

午前9時にスタートした公式練習。気温19度、路面温度28度のなか、快走を見せたのはNo.19 WedsSport ADVAN GR Supra(国本雄資/阪口晴南)。かつて、予選でポールポジションを”量産”していたチームに速さが復活。久々のポール獲得に向け、さらに決勝に向けて準備を進めた。

午後のノックアウト予選は、午後3時3分にスタート。GT500クラス全15台が出走したQ1は、気温20度、路面温度33度の下、10分間の計測で行なわれた。朝から好調だった19号車は国本が1分26秒490でトップタイムをマーク。2番手につけたNo.16 ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #16の大津弘樹に対して、0.4秒という大差をつけた。続くQ2には、Q1の上位10台が出走。ここでも19号車の速さは揺るがず。ところが、残り1分を切って最速タイムをマークしたのが、No.38 KeePer CERUMO GR Supraの大湯都史樹だった。19号車とわずか0.083秒差でポールポジションを奪い取る結果となっている。なお、38号車にとって、予選アタックでのポールポジション獲得は2020年第4戦もてぎ以来でもあった。38号車、19号車とトヨタ勢が最速ラップを奪い合うなか、3番手を得たのは16号車。ホンダ勢トップから初優勝を狙う結果となった。一方、日産勢はアタックに苦心。最高位はNo. 3 Niterra MOTUL Z(佐々木大樹/三宅淳詞)の5位だった。

決勝日は朝こそ曇っていたが、徐々に天候が回復。決勝を迎える頃には青空が戻って来る。また、サーキットには連日多くのGTファンが詰めかけ、計8万2500人というファンが来場した。

午後2時10分、3時間レースがスタート。気温24度、路面温度38度と、前日よりもタフなコンディションのなか、文句なしに38号車がポールスタートを決めると、予選2番手の19号車、さらには予選3番手の16号車が続き、周回を重ねていく。その後、スタートから1時間を過ぎるとルーティンのピット作業を実施するチームが現れ、作業のタイミングによってポジションの入れ替わりが見られることとなった。

44周目が終わると、全15台が1回目のピット作業を終了。再び38号車がトップの位置に戻り、2位には他車より早めにピットインを済ませたNo. 8 ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #8(野尻智紀/松下信治)が浮上。一方、開幕戦の覇者であるNo.1 au TOM’S GR Supra(坪井翔/山下健太)が予選7番手から3番手までポジションアップを果たすも、装着したタイヤの種類によって各車のペースが異なるようで、1号車は後方からの猛追を凌ぐ走りを続けることとなった。

レースも残り3分の1が迫るなか、トップを快走する38号車は72周終わりでピットイン。スタートからここまでダブルスティントを担当した大湯からベテランの石浦へと交代した。すると、これを追う形で8号車もピットに帰還。一方、3位を死守する1号車はややタイミングを遅らせて80周でピットイン。山下から再び坪井へと交代する。先のスティントでは路面と装着したタイヤが合わず、苦戦していた1号車だったが、最終スティントではペースアップに成功。坪井はすぐさま前方の8号車を逆転し、2番手に浮上する。

トップ38号車の速さは変わらず、盤石の走りを披露。これに1号車が喰らいつき、その後方ではNo. 12 MARELLI IMPUL Z(平峰一貴/ベルトラン・バゲット)とNo.100 STANLEY CIVIC TYPE R-GT(山本尚貴/牧野任祐)が好バトルを展開していたが、最後の最後になって100号車が逆転に成功。3位をもぎ取った。

独走で勝利した38号車だが、トップチェッカーを受けるのは6年ぶり。大湯は移籍後初の、また石浦は6年ぶりの勝利となり、ともに涙の笑顔で表彰台の真ん中に上がった。

 

<GT300>

GT300クラスでは、No.61 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝)が好調をアピール。予選日の公式練習でトップタイムを刻み、久々のポールポジションを目指した。ところが、午後の予選で最速ラップを叩き出したのは、No.777 D’station Vantage GT3(藤井誠暢/チャーリー・ファグ)。結果、61号車は2位からのスタートに甘んじた。3位には、今シーズンから参戦するNo. 7 CARGUY Ferrari 296 GT3(ザック・オサリバン/小林利徠斗/澤圭太)が続いた。

翌日の決勝は、クラス同士の接触はじめタイヤバーストなどのトラブルで慌ただしい展開となったGT300クラス。まず、クラスポールでスタートを切った777号車は、レース中盤を折り返してなお安定した速さを披露していたものの、左リヤタイヤバーストのトラブルに見舞われ、痛恨のポジションダウン。だが、その後は他車を圧倒する快速ぶりで、ひとつ、またひとつとポジションを取り戻していく。そんななか、ようやくクラストップに立ったのが61号車。後方には、予選27位から驚異の追い上げを果たし、表彰台争いに食い込んできたNo. 6 UNI-ROBO BLUEGRASS FERRARI(片山義章/ロベルト・メリ・ムンタン)が迫ったが、61号車がトップをキープ。スタートから3時間が過ぎ、チェッカーまで残すところあと1周を迎えた。

ところが、なんとダンロップコーナーを走る61号車が突如としてスピードを失い、スローダウン。レース中からエンジントラブルを抱えながらの周回だったというが、チェッカーを目前にしてついに息絶えてしまった。結果、怒涛の追い上げを見せた6号車に勝利が転がり込む。6号車にとっては、チーム設立初の勝利でもあった。2位に続いたのは、777号車。アクシデントをものともせず粘りの走りで復活を果たしている。そして、3位でチェッカーを受けたのは、終始安定した走りを続けた7号車。ところが、レース後にピット作業違反のタイムペナルティが課され、ポジションダウンを喫した。これを受け、No. 2 HYPER WATER INGING GR86 GT(堤優威/平良響)が繰り上げ3位となっている。

シーズン2戦を終え、次はいよいよマレーシア、セパン・インターナショナル・サーキットが舞台となる。SUPER GTとしては2019年以来の海外戦だが、セパンでの戦いは2013年以来。久々の海外戦で各車どのようなパフォーマンスを披露するのか。夕方にスタートを切るトワイライトレース実施を予定しているが、なおも厳しい暑さとの戦いでもあるだけに、大いに注目が集まる。

 

フォトギャラリー

(文:島村元子 撮影:中村佳史)