SUPER GT 第5戦 鈴鹿

SUPER GT 第5戦 鈴鹿

鈴鹿450kmを制したのは、最後尾スタートのカルソニックIMPUL Z

<GT500>
8月27、28日に鈴鹿サーキットにおいて開催されたSUPER GT第5戦。両日ともに真夏の酷暑というほどではなかったが、時折照りつける強い日差しの中で450km、77周の激しい戦いを展開した。その中から今シーズン初勝利を#12 カルソニックIMPUL Z(平峰一貴/ベルトラン・バゲット組)が達成。今回の勝利で、シリーズランキングでも暫定トップに躍り出た。

薄曇りの中で行われたノックアウト予選。やや蒸し暑さを感じる中、タイムアタックで好調をアピールしたのが#23 MOTUL AUTECH Z(松田次生/ロニー・クインタレッリ組)。日産勢としては過去の鈴鹿戦で4連覇中とあり、ニューマシンZでの鈴鹿勝利も狙っていることが見てとれた。だが、この勢いを上回ったのが#16 Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT(笹原右京/大湯都史樹組)。まず、朝の公式練習でトップタイムをマークした。

ノックアウト予選Q1は午後3時33分にスタート。気温31度、路面温度38度とこの季節としては低い数値を刻む中、早速Q1で16号車の大湯がトップタイムを叩き出す。Q1の2番手は第2戦からの連続ポールポジションがかかる#19 WedsSport ADVAN GR Supra(国本雄資/阪口晴南組)。そこに23号車が続き、この上位3台によるポールポジションアタックになるものと思われた。ところが、最終Q2になって気を吐いたのが、#17 Astemo NSX-GT(塚越広大/松下信治組)。まず、早めのアタックに挑んだ16号車は、タイヤコンディションと路面のマッチングが合わずに、早くもタイヤがタレてしまう事態となってタイムを伸ばしきれず、17号車に次ぐ3番手に甘んじた。そして、この状況で底力を発揮したのが、23号車。ロニー・クインタレッリが会心の一発を見せて1分45秒169のタイムでトップタイムをマーク。23号車にとっては、2019年8月の第5戦富士大会以来のポールポジションであり、鈴鹿においては2013年第5戦以来となる活躍となった。

 

GT500クラス予選ポールポジション #23 MOTUL AUTECH Z(松田 次生/ロニー・クインタレッリ)

GT500クラス予選ポールポジション #23 MOTUL AUTECH Z(松田 次生/ロニー・クインタレッリ)

 

予選日と似通った気温ながら、日曜日の決勝直前には上空を覆っていた雲が去り、眩しい太陽が路面を照らした。気温28度、路面温度39度というコンディション下で幕を開けた決勝は、まずポールポジションスタートの23号車がレースを牽引する。また、これに17号車、そして16号車が等間隔で続いたが、その後方ではあちこちでポジション争いを展開し、また序盤にルーティンのピットインを遂行するチームも現れた。トップ争いに動きがあったのは、17周目。23号車がトップ争いとしては早めのピットイン、ドライバー交代をしない戦略でライバルを揺さぶる。上位争いでは16号車が27周終わり、そして17号車は29周終わりでピットへ。ほぼセオリーどおりと思われるタイミングでドライバー交代を含む作業を遂行した。一方、その後方からポジションアップを見せたのが#39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra(関口雄飛/中山雄一組)と12号車。中でも12号車は前日の予選でトラブルがあったわけでもないのに最後尾という厳しい結果を突きつけられたが、決勝では瞬く間にポジションアップを見せた。1回目のピットインが終わると、トップに立ったのは16号車。そこに予選5番手から順位を上げた#38 ZENT CERUMO GR Supra(立川祐路/石浦宏明組)が23号車を抜いて2位へと浮上した。

 

GT500クラススタート

GT500クラススタート

 

41周終わり、早めのタイミングで最初のルーティンワークを終えていた23号車が2度目のピットイン。また、17号車も48周終わりでピットへ。するとその翌周、130RでGT300クラス車両がタイヤがバーストした勢いでコースアウトし、クラッシュ。この処理のためにセーフティカーが導入される。するとこれをチャンスとばかり、39号車と12号車がピットイン。その後、ピットレーンがクローズドとなったため、結果としてこの2台は絶妙なタイミングで作業を終えて、表彰台へのチャンスを大きく広げることとなった。54周終わりでレースは再開、38号車がこのタイミングでピットインしたが、コース復帰後ほどなくしてトラブルが発生。ピットでの修復作業を強いられた。また、長らくトップを走っていた16号車は、ライバルに対して、ピットインのタイミングを大きく外す結果となり、59周終了時にピット作業を終えたが、表彰台圏内から脱落することになった。

トップを走る17号車に対し、23号車も思うほどペースが上がらないままレースは終盤戦へと突入。実のところ17号車は2度目のピット作業でガソリンが入り切っていない事情を抱えており、続く23号車も後方の12号車と激しい攻防戦を繰り広げる中でドライブスルーペナルティを課せられるなど、思わぬ展開へと進んでいく。一方で、スタート直後からひたすらポジションアップを目指してきた12号車に吹いた追い風は止まず。チェッカーまで残り3周のヘアピンからスプーンカーブにかけて17号車をあっさりと抜き去ると、最後は12号車の独壇場となってチェッカー。チームにとっては、待ちに待ったシーズン最初の1勝となった。

 

GT500クラス優勝 #12 カルソニック IMPUL Z(平峰 一貴/ベルトラン・バゲット)

GT500クラス優勝 #12 カルソニック IMPUL Z(平峰 一貴/ベルトラン・バゲット)

 

GT500クラス2位 #17 Astemo NSX-GT(塚越 広大/松下 信治)

GT500クラス2位 #17 Astemo NSX-GT(塚越 広大/松下 信治)

 

GT500クラス3位 #39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra(関口 雄飛/中山 雄一)

GT500クラス3位 #39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra(関口 雄飛/中山 雄一)

 

GT500クラス優勝 #12 カルソニック IMPUL Z(ベルトラン・バゲット/星野一義 監督/平峰 一貴)

GT500クラス優勝 #12 カルソニック IMPUL Z(ベルトラン・バゲット/星野 一義 監督/平峰 一貴)

 

GT500クラス表彰式

GT500クラス表彰式

 

<GT300>
予選2番手スタートの#244 HACHI-ICHI GR Supra GT(佐藤公哉/三宅淳詞組)がノーウェイトを味方につけて、9周目のダンロップコーナーでクラスポールスタートの#10 TANAX GAINER GT-R(富田竜一郎/大草りき/塩津佑介組)をあっさりと逆転。快走を続けた。244号車に抜かれはしたが10号車もペース良く周回を続け、また予選3番手の88号車のトップ3台が揃って最初のルーティンワークを行った。一方で、後続車の中から早めのタイミングで作業を終えていた予選5番手の#4 グッドスマイル 初音ミク AMG(谷口信輝/片岡龍也組)が着実に順位を上げ、レース中盤は4号車がクラストップで周回を重ねた。

 

GT300クラススタート

GT300クラススタート

 

レース後半に向かう中、244号車にアクシデントが発生。2回目のピットインを終えてコース復帰したばかりの130Rでタイヤバーストしてクラッシュパッドに激突するという衝撃の結末に。また、これでセーフティカーが導入され、各車のギャップが一気に縮まった。しかし、リスタート後も4号車のトップは不動。後続との差を巧みに操るかのような走りを見せて、トップチェッカー。前回の富士では、ほぼ勝利が手中にある中でタイヤバーストに見舞われた4号車にとってはその雪辱を果たす戦いとなり、2017年開幕戦以来となる勝利にもなった。

 

GT300クラス優勝 #4 グッドスマイル 初音ミク AMG(谷口 信輝/片岡 龍也)

GT300クラス優勝 #4 グッドスマイル 初音ミク AMG(谷口 信輝/片岡 龍也)

 

GT300クラス2位 #10 TANAX GAINER GT-R(富田 竜一郎/大草 りき/塩津 佑介)

GT300クラス2位 #10 TANAX GAINER GT-R(富田 竜一郎/大草 りき/塩津 佑介)

 

GT300クラス3位 #30 apr GR86 GT(織戸 学/平良 響/上村 優太)

GT300クラス3位 #30 apr GR86 GT(織戸 学/平良 響/上村 優太)

 

GT300クラス優勝 #4 グッドスマイル 初音ミク AMG(谷口 信輝/片山 右京 監督/片岡 龍也)

GT300クラス優勝 #4 グッドスマイル 初音ミク AMG(谷口 信輝/片山 右京 監督/片岡 龍也)

 

GT300クラス表彰式

GT300クラス表彰式

 

GT500クラス決勝正式結果
GT300クラス決勝正式結果

(文:島村元子 写真提供 GTA)