SUPER GT 第1戦 岡山 レポート&フォトギャラリー

SUPER GT 第1戦 岡山 レポート&フォトギャラリー

24年シーズン開幕、au TOM’S GR Supraが初戦を制す

<GT500>
4月13、14日、岡山国際サーキットで開催された24年シーズンのSUPER GT第1戦。初夏のような天気になるなか、ポールポジションからスタートを切った#36 au TOM’S GR Supra(坪井翔/山下健太)がライバルを圧倒する速さで独走。初戦を完勝を果たした。

レースウィークを通して安定した好天気に恵まれた岡山国際サーキット。一方、今シーズンからレギュレーションがいろいろと変更されたこともあり、その変化に翻弄されるチームも少なくなかった。

予選日は、午前9時30分から公式練習がスタート。午前11時15分までGT300、GT500両クラスが混走および専有走行を行ない、予選、決勝に向けてクルマの調整やシミュレーションに取り組んだ。このセッション中、気温は20度から26度、路面温度は26度から32度まで上昇。午後からの予選ではさらに数値が上がると予想され、各チームとも状況を踏まえての準備に勤しむこととなった。

予選セッションは、午後2時にスタート。先にGT300クラスがA、B二組に分かれてQ1のアタックを行ない、午後2時33分からはGT500クラスのQ1を迎える。気温27度、路面温度37度のなか、まず全15台がコースイン。チェッカー1分前に、36号車が1分17秒813のトップタイムをマークするも、後続車が続々とタイムを更新。#23 MOTUL AUTECH Zが1分17秒489でトップを奪い、これに#38 KeePer CERUMO GR Supraが続いた。

なお、今シーズンの予選では、新たに「タイム合算方式」を導入。Q1、Q2のタイムを合算し、スタートグリッドを決定する。よって、各チームの2選手はQ1もしくはQ2どちらかのセッションに出走し、順位を競うことになる。全ドライバーが出走することになった一方、使用できるタイヤは1セットに限定され、しかもそのタイヤで決勝スタートを切らなければならない。結果として走る周回は増えるものの、300kmレースの場合、使用できるタイヤはトータルで4セットへと削減された。昨シーズンよりさらに厳しい条件で予選に臨まなければならず、ドライバーは効率良くアタックすることが求められた。

自分の”相方”がQ1で使用したユーズドタイヤを使ってアタックするQ2。このセッションにも全15台が出走する予定だったが、#8 ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #8は、Q1のアタック中に最終コーナーで挙動を乱し、走路外走行扱いとなってベストタイムが抹消される。結果、セカンドベストタイムが予選通過タイムをクリアすることができず、チームではQ2の出走を見送る選択をした。よって、残る14台がQ2に挑み、そこで36号車が1分17秒748の最速タイムをマーク。Q1、Q2の合算タイムでライバルたちを退けてポールポジションを手にしている。2位には、両セッションで安定した速さを見せた#39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra(関口雄飛/中山雄一)、3番手は#100 STANLEY CIVIC TYPE R-GT(山本尚貴/牧野任祐)が続き、今シーズンから新たに投入されたシビックが、Supra勢のトップ3独占を阻止している。

決勝日も朝から澄んだ青空が一面に広がったサーキット上空。正午には気温26度、路面温度37度まで上昇。予選日よりもタフなコンディションになることが予想された。開幕戦ならではのイベントやオープニングセレモニーも行なわれて賑わいをみせるなか、午後1時30分には岡山県警の白バイによるパレードラップがスタート。続いてフォーメーションラップとなり、82周にわたる戦いが幕を開けた。

スタート直後から、ポールの36号車がダントツの速さで瞬く間に後続を引き離す一方、後方では激しいポジション争いの末に、多重クラッシュが発生。1台が早くも戦線を去り、セーフティカーがコースインする。レース再開は7周目から。ユーズドタイヤであることを感じさせない36号車は、リスタートもうまく決め、再び安定した速さで周回を続けた。レースは3分の1を迎える前に、3位争いを展開していた100号車と38号車が28周終わりに同時ピットイン。ここで38号車がピット作業で手間取り、100号車が先にコースへ復帰する。さらに、この2周後には2番手の39号車がピット作業を済ませ、コースへと復帰。長い第2スティントが始まった。

一方、トップ36号車は31周終わりにピットへ。無難に作業を済ませてコースに復帰すると確実に後続との差をつけ、独走態勢を作り上げていく。逆に2番手39号車と100号車は僅差の攻防戦を展開。タイトな岡山のコースゆえに与えられるチャンスも限られ、決め手を欠いた100号車は、惜しくも逆転を果たせなかった。結果、36号車が2位に10秒強の大差をつけて完勝。タイトル防衛に向けて新コンビが幸先良いスタートを切っている。2位には見事な粘りを見せた39号車、3位には100号車が入り、予選同様にSupra勢のトップ3独占を阻止するとともに、新型シビックが早速表彰台の一角を獲得する活躍を見せた。

 

<GT300>
GT300クラス予選は、Q1、Q2ともにグループを2つに分割。Q1で各グループトップの8台、計16第がQ2のグループ1、それ以下の車両が同グループ2に区分され、アタックを行なうことになった。さらに、合算タイムを比較し、グループ1の下位4台とグループ2の上位4台を速い順に並べ替えを行なうという”入れ替え方式”を新たに導入。最後の最後までシビアな順位争いとなった。

Q1ではA、B組ともチャンピオン獲得を目指すチームが好調な走りをアピールするかのように速さを見せる。その後、Q2を終えてタイムを合算した結果、2台揃って安定した速さを見せた#65 LEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/篠原拓朗)がシーズン初ポールポジションを獲得。合算タイムでトップとわずか0.067秒差だった#2 muta Racing GR86 GT(堤優威/平良響)が2番手、さらにN#61 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝)が続いた。

迎えた決勝。レース序盤こそ、65号車がトップをキープし、2号車は背後でプレッシャーをかけ続けて周回を続ける形となり、その後の戦略に注目が集まった。昨シーズンは決勝でタイヤ無交換を戦略に採り入れるチームが見られたが、今シーズンは、1セットのタイヤでスタートまで走行していることもあり、レース中の無交換が見られるかどうか、気になるところ。すると、2位走行中の2号車が32周終わりにピットイン、23.5秒という短い時間で給油とドライバー交代だけ済ませてコースに復帰。タイヤは交換しなかった。トップ65号車はこれより17周後の49周にピットイン。タイミングを引っ張るだけ引っ張ったが、最終的には4輪とも交換することになり、その作業中に2号車がメインストレートを駆け抜けていった。

これにより、晴れてクラストップに立った2号車。後方には、ディフェンディングチャンピオンの#52 Green Brave GR Supra GT(吉田広樹/野中誠太)が同じくタイヤ無交換で続き、65号車は3番手にドロップ。だが、ニュータイヤを駆使して懸命にプッシュした甲斐あって、65周目には逆転を果たした。その後、52号車は後続車の追い上げにも防戦一方となり、逆転を許して、4番手に甘んじた。逆に、2号車は後続との差を10秒近くまで広げる健闘。最後までしっかりと強い走りでシーズン初優勝を果たすこととなった。2位65号車に続いたのは、#7 Studie BMW M4(荒聖治/二クラス・クルッテン)だった。

改められたレギュレーションの関係で、本来の実力を存分に発揮できずに開幕戦を終えたチームもいるなか、次戦は恒例のゴールデンウィーク中の開催が待っている。5月3、4日開催の第2戦富士は3時間レースで競うことになるが、初の試みゆえにどのような戦いになるか楽しみだ。

(文:島村元子 撮影:中村佳史)