「スーパーフォーミュラ夏祭り」初日の勝者は、坪井翔!
7月19日、静岡・富士スピードウェイを舞台にした全日本スーパーフォーミュラ選手権の富士大会が開幕。今回は、19日、翌日の20日それぞれに予選と決勝を行なうワンデーレースとして開催される。まず、初日となる19日は、予選2番手からスタートしたNo.1 坪井 翔(VANTELIN TEAM TOMʼS)が序盤に逆転を決めて、このまま優勝をさらっている。
今シーズンは、開幕の鈴鹿、続くもてぎでワンデーレースを実施してきたスーパーフォーミュラ。ちょうど2ヶ月前に開催された第5戦オートポリスでは、天候不良によって期せずしてワンデーレースとなっており、今大会もまたこれまで同様に1日で予選と決勝が実施されている。
夏休みに入って最初の週末となった富士には多くの親子連れの姿があり、レースに限らず多くのイベントでぎわいを見せていた。まず、午前9時10分からノックアウト予選がスタート。Q1・A組では昨シーズンから富士でのスーパーフォーミュラ開催で負けなしの坪井がトップで通過し、これにNo.16 野尻智紀(TEAM MUGEN)、さらには前日午前のフリー走行でトップタイムをマークしたNo.38 阪口晴南 (SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)が3番手につけた。続くQ1・B組では、セッション開始とともにNo. 5 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)がコースイン。これにNo.15 岩佐歩夢(TEAM MUGEN)が続こうとしたが、ピットレーン出口の信号がグリーンからレッドへと切り替わってしまう。とっさの判断で停止した岩佐。後続の車両も当然ながらコースインできずしばし停滞する。このハプニングは信号機のエラーと判明。セッションは一旦中止され、あらためて予定より10分遅れで再スタートとなった。気を取り直しでのアタックとなるなか、B組トップ通過を果たしたのは、岩佐。これに前日の午後のフリー走行でトップタイムをマークしているNo.65 イゴール・オオムラ・フラガ(PONOS NAKAJIMA RACING)、3番手にNo.39 大湯都史樹(SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)が続いた。
午前9時55分にはQ2がスタート。今度は7分間のセッションで12台がポールポジションを巡るアタック合戦となる。まず、真っ先にコースインしたのは野尻。各車タイヤを温めて残りおよそ1分30秒のタイミングでアタックラップに入る。すると野尻が1分22秒417をマークし、トップに。次々後続車もチェッカーを受けるが、野尻のタイムを上回れず。2番手以降は目まぐるしくポジションが入れ替わったが、そのなかで2番手を仕留めたのが坪井。1分22秒438をマークしたが、トップにはわずか0.021秒足りなかった。これで野尻は通算23回目となる最多ポールポジションとなり、今シーズンだけでも4回目のポール獲得を達成。あとは、今シーズン初勝利を目指すのみとなった。一方、3番手にはNo. 8 福住仁嶺(Kids com Team KCMG)が続いた。なお、今大会を前に暫定ランキングトップにつける牧野は6番手からのスタートとなる。
- 2位 #16 野尻智紀(TEAM MUGEN)
- 予選2番手 #1 坪井 翔(VANTELIN TEAM TOMʼS)
- 予選3番手 #8 福住仁嶺(Kids com Team KCMG)
夏空の下、午後3時15分に号砲となった第6戦決勝。36周にわたる戦いは、気温33度、路面温度49度というコンディションのなかで幕を開けた。ポールスタートの野尻がクリアスタートを決めたものの、2周目に入るメインストレートで背後につけた坪井が逆転に成功。その後はぐんぐんと後続を引き離しにかかる強いレース展開を披露する。一方の野尻は、後ろに続く福住、予選5番手の岩佐らとの接近戦になりつつも、ポジションキープで周回を重ねた。
今回のレースはトップが10周を終えた時点でピットウィンドウがオープンする。この流れでまずポジションアップを狙いたい上位グループの中から福住、牧野らがピットイン。すると、その翌周11周目終わりで野尻もピットへと舵を切った。一方、先頭の坪井は周回を重ねてもなお好タイムを刻んでいく。ときにはフレッシュタイヤへと交換した野尻よりも速いタイムをマークし、”見えない敵”である野尻とのギャップを築き上げていった。
トップ坪井がピットに戻ったのは23周終わり。ピットアウト後はしばし野尻が先行したが、タイヤ交換後のスピードを活かして26周目には逆転に成功し、再びトップの座が坪井へと戻る。その後も好走が続く坪井は2位以下に大きくリードを築くこととなり、最終的に2位野尻に対して6.7秒という大差をつけてトップチェッカーを受けた。
坪井はシーズンをまたいで富士4連勝を達成。暫定ランキングでもトップを奪取することとなった。野尻は第5戦に続いてまたも2位に甘んじることに。終盤に福住を攻略した岩佐が、3位で表彰台に上がっている。
続く第7戦は明日、予選と決勝が行なわれるが、決勝は今日の第6戦よりも5周多い41周に。また、ピットウィンドウが設けらておらず、今回とは異なるピット戦略となる可能性もあるだけに、どのような展開となるか、楽しみが広がる。
- 第6戦 スタート
- 優勝 #1 坪井 翔(VANTELIN TEAM TOMʼS)
- 2位 #16 野尻智紀(TEAM MUGEN)
- 3位 #15 岩佐歩夢(TEAM MUGEN)
- 第6戦 表彰式
真夏の富士決戦、2日目は・・・・が戦いを制する!
7月20日、前日に続き静岡・富士スピードウェイにおいて全日本スーパーフォーミュラ選手権の富士大会が行なわれ、この日は第7戦の予選および決勝が行なわれた。イベント2日目は、予選・・番手スタートの・・・・が・・・・・
前日同様、真夏の太陽が照りつけるなか、富士には多くのファンが来場。都心部よりもやや気温も低く、天然の風に吹かれながらのレース観戦を楽しんでいたようだ。
第7戦の予選は午前10時10分にQ1・A組からスタート。前日より1時間遅いスタートとあって、気温、路面温度ともにやや高いコンディションとなる。A組に出走した11台のなかで、まずターゲットタイムをマークしたのがNo.14 大嶋和也(docomo business ROOKIE)。昨日の決勝でトップフォーミュラ参戦100戦目という節目を迎えたベテランは、その場で今シーズンを最後にフォーミュラレースからの引退を電撃発表。今回の富士含め、最終戦まで全力を尽くすとした。その後、大嶋のタイムを上回る車両が続々と現われ、No.64 佐藤 蓮(PONOS NAKAJIMA RACING)トップタイムをマークする。これに第6戦3位のNo.15 岩佐歩夢(TEAM MUGEN)、そして昨日はQ2進出を果たせなかったNo.37 サッシャ・フェネストラズ(VANTELIN TEAM TOMʼS)が続いた。
Q1・B組には前日圧倒的な速さでレースを制したNo.1 坪井 翔(VANTELIN TEAM TOMʼS)、そしてポールポジションから2位に甘んじたNo.16 野尻智紀(TEAM MUGEN)が出走。だが、アタックラップで存在感をアピールしたのは、No. 6 太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)。A組のトップタイムを上回る好タイムでQ2へと駒を進め、これに野尻、No.39 大湯都史樹(SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)が続いたが、坪井は5番手に留まった。
ポールポジションを目指す12台が出走したQ2は、午前10時45分から。7分間のセッションが気温30度、路面温度48度のなかで始まり、残り1分を切ってから続々と各車がベストラップを刻み始める。前日同様、今回も真っ先にアタックラップに入った野尻が1分23秒194でトップに浮上。間髪入れず岩佐がこれを上回り、暫定トップに。だが、そのあとに佐藤が1分23秒095をマーク。これで決まるかと思われたが、ここで魅せたのが坪井。1分22秒940のタイムでトップに立つとこれがそのままトップタイムとなり、今シーズン自身初のポールポジションを掴み取った。一方、ラストアタックでチェッカーを受けた太田も好アタックを見せていたが、坪井にわずか0.081秒及ばず2位となり、佐藤が3番手で続く結果となった。なお、一旦7番手で予選を終えていた野尻だが、ベストタイムが走路外走行の判定を受け、タイム抹消に。結果、Q2最後尾の12番手から決勝を迎えることになった。
- 予選ポールポジション #1 坪井 翔(VANTELIN TEAM TOMʼS)
- 予選2番手 #6 太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
- 予選3番手 #64 佐藤 蓮(PONOS NAKAJIMA RACING)
第7戦の決勝は午後3時15分にスタート予定だったが、その進行途中にトラブルが発生。レコノサンスラップ時にトランスポンダー(発信機)のバッテリーが不具合を起こしたため、各車のトランスポンダーを交換することに。結果、スケジュールが遅延し、午後3時10分にあらためてレコノサンスラップが行なわれ、当初の予定よりも42分遅れとなる午後3時57分にフォーメーションラップが始まった。
今大会の戦いは41周のレースとなり、前日よりも5周多い。一方でルーティンとなるタイヤ交換におけるピットウィンドウに制約は設けられていない。各車がどのような戦略を見せるのか注目が集まるなか、まずオープニングラップで予選2番手の太田が抜群のスタートを決め、1コーナーをトップで進入する。だが坪井もひかず、13コーナーでトップを奪還し、その後レースを牽引する。一方、3位争いは予選4番手の大湯と同3番手の佐藤による攻防戦が続き、大湯が逆転を果たした。
上位争いでまず最初にピットに向かったのは、岩佐。7周終わりでピットインし、終盤に向けて”見えない敵”に対してマージンを築く戦略を採る。一方、大湯と佐藤のバトルは佐藤が9周目に逆転し、抜かれた大湯はそのまま作業のためピットへと向かった。
そんななか、17周目に1台の車両がスローダウン。左フロントタイヤが外れるトラブルによって13コーナーでストップ。これでレースはセーフティカーが導入されることになる。この事態を受けてまだピットインしていなかった残る12台が次々とピットへと戻り、作業を開始。コース復帰を果たすタイミングで、コース上の岩佐が暫定トップに躍り出た。このあともしばしセーフティカーランが続いたが、24周終了をもってリスタートとなる。
この時点で逃げる岩佐と2位になった坪井との差は0.9秒。ともにOTS(オーバーテイクシステム)を使いながら巧みなライン取りを見せて激しい駆け引きとなるなか、その背後に迫った太田までもが”参戦”。すると、まずは31周目のメインストレートで太田が坪井を攻略、33周目には1コーナーで岩佐をも逆転し、ついにトップに立つ。その後は勢いのままに2番手以降を引き離す快走。最終的には7.127秒もの差をつけて、今シーズン3勝目を飾った。なお、最後まで続いた表彰台を巡る攻防戦は、岩佐がかろうじて2番手をキープ。一方、坪井は3番手を死守。手堅く戦いをまとめている。
- 第7戦 スタート
- 優勝 #6 太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
- 2位 #15 岩佐歩夢(TEAM MUGEN)
- 3位 #1 坪井 翔(VANTELIN TEAM TOMʼS)
- 第7戦 表彰式
今回の結果を受け、暫定ランキングトップは87点の坪井と変わらないが、太田が84点を挙げて2番手へと浮上。これに太田のチームメイトである牧野が73点で続く形となっている。中盤戦から後半戦へと向かうなか、次のSUGOではどんなドラマが待ち受けるのか。期待が膨らむ。
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(文:島村元子 撮影:中村佳史)