SUPER GT 第3戦 セパン レポート&フォトギャラリー

SUPER GT 第3戦 セパン レポート&フォトギャラリー

第3戦はセパン開催! 12年ぶりの戦いを制したのはNo.37 Deloitte TOM’S GR Supra!

<GT500>
これまでシリーズ戦のなかに海外でのレース開催を組み込んできたSUPER GT。だが、2019年コロナ禍で開催が中止となり、以来国内での実施が続いていた。今年、ようやく海外戦の開催が復活し、その舞台となったのがマレーシアのセパン・インターナショナル・サーキット。2014年から2019年はタイでの開催だったため、今回は2013年以来、12年ぶりのセパン戦となる。6月28日(土)に開催された決勝レースは、地元のレースファンからも多くの関心を集めるなか、レースは予選4番手からスタートを切ったNo.37 Deloitte TOM’S GR Supra(笹原右京/ジュリアーノ・アレジ)が、緻密なピット戦略と持ち前の速さをうまく噛み合わせ、今シーズン初の勝利をもぎ取っている。

SUPER GTのレースを実施しない間も、GT500クラスではオフシーズンにセパンで継続的にテストを行なっていることから、コースを知るドライバーがほとんど。とはいえ、季節も異なるため、各チームとも今回特別に用意された2度の公式練習を使い、精力的にセットアップやロングランに取り組み、予選、決勝に向けての準備に勤しんだ。

2度の公式練習を経て、27日(金)の夕方4時30分からはGT300クラス、GT500クラス別に予選が実施された。GT500クラスは通常と変わらず15台が出走し、上位10台がQ2へと進出する。今回、公式練習中から安定して速さをアピールしていたNo.19 WedsSport ADVAN GR Supra(国本雄資/阪口晴南)がQ1で1分50秒856の好タイムをマークしてトップ通過を果たすと、これにサクセスウェイトが軽いNo.17 Astemo CIVIC TYPE R-GT(塚越広大/小出峻)、No.64 Modulo CIVIC TYPE R-GT(伊沢拓也/大草りき)のホンダ勢2台が続いた。

Q2では、アウトラップに入ったばかりのNo.39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra(関口雄飛/サッシャ・フェネストラズ)に車両トラブルが発生。赤旗中断を受けてより不安定な状況でされたが、チェッカーが振られるなかで自己ベストタイムを更新する車両が続出。そのなかでも19号車が1分49秒748というコースレコードを更新する好タイムでポールポジションを獲得。復活戦のセパンでシーズン初優勝を目指すことになった。また、2位にはNo. 8 ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #8(野尻智紀/松下信治)、3位にはNo.64 Modulo CIVIC TYPE R-GT(伊沢拓也/大草りき)が続く一方、ダントツの強さでランキングトップを独走するNo.1 au TOM’S GR Supra(坪井翔/山下健太)は、唯一燃料流量リストリクター2リスダウンという条件を背負うが、それでも8番手につけるという驚異のパフォーマンスを披露し、ライバルを牽制した。

 

決勝は蒸し暑く、重苦しい空気がサーキットを包み込むような天気のなかで55周にわたる戦いが繰り広げられた。ポールスタートの19号車は逃げの態勢で後続を引き離そうとするが、8号車がこれをマーク。GT300クラスとの激しい混戦のなかで19号車を攻略してトップを奪取した。一方、今回は比較的早いタイミングからルーティン作業に取り掛かるチームも多く、慌ただしくポジションも入れ替わった。

一方、その様子を見ながら37号車はピットインのタイミングを遅くすることでアドバンテージを確立。満を持して32周終わりにピットインすると、アウトラップでもそれまで事実上のトップだった8号車を押さえ切って名実ともに総合トップの座につく。

背後につけた8号車は懸命に37号車を追い立てたが、8号車は37号車に対して10周も早くにタイヤ交換をしており、思うように差を縮めることができない。GT300クラス車両を利用しての逆転も目指したが、2台の差は縮まるどころが広がっていく。逆に3番手以降の追い上げも続いていたため、37号車は独走でのシーズン初勝利を達成。2位には厳しい戦いながら、ようやくシーズン初表彰台を獲得した8後車が続いた。3番手でチェッカーを受けたのは、シーズン後半から怒涛の追い上げで大きくポジションアップに成功したNo.100 STANLEY CIVIC TYPE R-GT。だが、攻防中の接触に対してタイムペナルティが課されたため、最終的には6番手に甘んじている。そして代わりにNo. 12 MARELLI IMPUL Z(平峰一貴/ベルトラン・バゲット)が3位を手にすることとなった。

 

<GT300クラス>
現地招待という形でのワイルドカード参戦車両2台を含む、合計19台での開催となったGT300クラス。公式練習ではワイルドカードチームがトップタイムをマークするなど、盛り上がりを見せた。

そんななか、ノックアウト予選ではQ2でNo.18 UPGARAGE AMG GT3(小林崇志/野村勇斗)が快走。ルーキーの野村が新たなコースレコードとなる2分02秒110をマークし、うれしい初ポールポジションを手にした。

 

18号車の勢いは決勝でも変わらず。だが、その前に強力なライバルとして立ちはだかったのはチャンピオン経験のあるNo.52 Green Brave GR Supra GT(吉田広樹/野中誠太)だった。予選2位からのスタートを切った52号車は瞬く間に18号車を攻略。その後は着実に差を広げる力走を見せた。

近づくルーティンのピットインでは、52号車、18号車ともに互いを牽制したか、まず52号車が25周終わりでピットへと舵を切る。ドライバー交代を済ませ、補給、タイヤ交換…と作業が進むなか、なんと左リヤタイヤのナットが飛んで転げ落ちるアクシデントが発生。転がったナットをもとに戻して作業を続けるも、大きくタイムを失ってしまった。これに対し、18号車は翌周ピットイン。ノーミスでの作業によって、一度奪われたクラストップの座に復帰する。

およそ8秒近い差が着いた2台だが、吉田による猛烈なプッシュによって2台の差がどう変化するのか、レース後半の大きな見どころとなった。終盤になって2台の差はおよそ5秒。このままかと思われるなか、再度猛追を始めた52号車は着実に差を切り取っていく。だが、逃げの走りで18号車も巧みにコントロール。惜しくも52号車に逆転のチャンスは訪れず、18号車が今シーズン初の勝利を掴み取った。52号車に続き、3位の座をもぎ取ったのは、No. 4 グッドスマイル 初音ミク AMG。レギュラー参戦の谷口信輝、片岡龍也の両者がスパ24時間レース出場のため、今回は中山友貴と奥本隼士による”代役”参戦となっていた。ベテラン中山に対し、奥本は今回がデビュー戦。だが、大終盤には次々とベテランドライバーとのバトルに興じてポジションアップを果たすという、秀でたパフォーマンスを披露し、存在感をアピールすることとなった。

海外戦を終えたSUPER GT。次なる舞台はシーズン2度目の富士スピードウェイ。土曜、日曜にそれぞれスプリントレースを開催予定だ。

 

フォトギャラリー

 

(文:島村元子 撮影:遠藤樹弥)