第5戦鈴鹿、#16 ARTA MUGEN HRC PRELUDE-GTがシーズン初勝利!
<GT500>
8月22、23日、三重・鈴鹿サーキットでSUPER GT第5戦が開催され、夏休みのなか、2日間で5万2千人強のファンが足を運び、GTカーによるスリリングな攻防戦の行方を見守った。レースは、予選4番手スタートのNo.16 #16 ARTA MUGEN HRC PRELUDE-GT(野尻智紀/佐藤蓮)がドライバー交代後に、ポールポジションスタートのNo.17 Astemo HRC PRELUDE-GT(塚越広大/野村勇斗)を逆転。その後も快進撃を続けてトップチェッカ! チームとして、またコンビとしてのシーズン初優勝を達成した。
第4戦富士から3週間。慌ただしく第5戦を迎えたSUPER GTだが、その戦いの舞台となる鈴鹿は連日厳しい暑さに見舞われた。まず、予選日の公式練習が気温31度、路面温度37度でスタートしたが、開始から15分ほどでNo.100 STANLEY HRC PRELUDE-GT(山本尚貴/牧野任祐)がエンジントラブルでストップ。さらに再開後5分も経たないうちに、今度はNo.88 VENTENY Lamborghini GT3(小暮卓史/ダニール・クビアト)がエンジンブローを興し、停止。ともにコース上のオイル処理を伴う作業が必要となった。10時45分にようやく再開を迎え、GT300、GT500両クラスの専有走行も行なわれたが、ロングラン等の確認作業に充てる時間が短くなり、どのチームにおいても不安要素が残るセッションとなった。
そのなかで、トップタイムをマークしたのは、No.16 #16 ARTA MUGEN HRC PRELUDE-GT。前回の富士では僚友であるNo. 8 #8 ARTA MUGEN HRC PRELUDE-GT(太田格之進/大津弘樹)が予選でポールポジションを獲得していることもあり、チームとして、またPRELUDE-GT自体のセットアップ、ポテンシャルアップがかなり進んでいることを象徴させる結果となったといえる。
公式練習を終える頃には、気温は34度、路面温度は47度まで上昇。だが、これを境に午後からの予選に向けて数値は下がることとなる。午後3時30分、まずGT300クラスの予選が始まり、GT500・Q1は午後4時過ぎにスタート。まず、トップに躍り出たのはNo.17 Astemo HRC PRELUDE-GT(塚越広大/野村勇斗)。だが、これをNo.24 リアライズコーポレーション Z(名取鉄平/三宅淳詞)がコンマ1秒上回ると、さらにチェッカーが振られるタイミングでNo.64 Modulo HRC PRELUDE-GT(大草りき/イゴール・オオムラ・フラガ)がトップに浮上。前回の富士では、決勝スタート直後に追突によるアクシデントに巻き込まれ、メインストレートで宙を舞うという大クラッシュを喫した64号車だったが、Q1ではアクシデントに遭遇したフラガが最速タイムとなる1分45秒254をマークし、見事な復活のパフォーマンスをやってのけた。2番手の24号車に続いたのは、No. 12 TRS IMPUL with SDG Z(平峰一貴/ベルトラン・バゲット)。もともと日産勢と鈴鹿の相性が良いだけに、Q2での躍進に期待が集まる結果となった。なお、公式練習時にトラブルに見舞われた100号車のほか、ランキングトップでサクセスウェイト96kgのNo.36 au TOM’S GR Supra(坪井翔/山下健太)、ランキング2位のNo.14 ENEOS X PRIME GR Supra(福住仁嶺/大嶋和也)、そしてNo.39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra(関口雄飛/サッシャ・フェネストラズ)がQ1敗退となっている。
午後4時40分過ぎ、Q2のセッションがスタート。残り時間2分を切るなか、まず16号車が快進撃を見せる。だが、勢い余ってスプーンカーブで走路外走行に。このタイムは不採用となるため、さらに1周アタックに挑んだ。その間にまず64号車の大草が1分45秒206のタイムでトップに浮上。チェッカーが出され、このままポールポジションが確定するかに思われた。だが、その瞬間、No.17 Astemo HRC PRELUDE-GTの野村勇斗が1分45秒129でトップを奪取。64号車に対し、なんと0.077秒差で自身初、またチームとしても今シーズン初のポールポジションを手にすることになった。3番手に続いたのは8号車。2周連続のアタックに挑んだ16号車は4番手に留まったが、Q2に進出したホンダ勢がトップ4を独占。前戦の富士以降、快進撃を続けている。
- GT500クラス 予選ポールポジション #17 Astemo HRC PRELUDE-GT(塚越広大/野村勇斗)
- GT500クラス 予選2番手 #64 Modulo HRC PRELUDE-GT(大草りき/イゴール・オオムラ・フラガ)
- GT500クラス 予選3番手 #8 #8 ARTA MUGEN HRC PRELUDE-GT(太田格之進/大津弘樹)
迎えた決勝日。前日より湿度が高く、厳しいコンディションとなる。午後1時30分、三重県警のパトカー3台によるパレードラップ、さらにフォーメーションラップを経て52周の戦いが始まった。ポールスタートの17号車は野村がドライブ。予選2番手の64号車の加速が鈍るなか、8、16号車が先行。この3台が激しい2位争いを繰り広げるなか、17号車が後続とのギャップを広げていく。だが、8周目を迎える頃には、GT300車両のバックマーカーがトップの前に現れ、その処理に手間取った17号車と16号車との差が一気に縮まる。1秒を切る僅差での攻防戦となったが、今年GT500クラスにステップアップしたばかりの野村が、ベテラン野尻がドライブする16号車の動きをシャットアウト。手に汗握るバトルに観客も盛り上がった。
そんななか、16周目のNIPPOコーナーでGT300クラスがスローダウン。一旦グラベルにストップしたことを受け、コースはフルコースイエローが発動される。幸い、およそ3分ほどで解除となったが、トップ17号車は18周終わりでピットへ。ルーティンのドライバー交代を済ませる。一方、追う16号車は22周終わりでピットイン。この前後にもルーティンの作業を行なうチームが多く、ポジション変動が続いた。16号車がコース復帰すると、その背後には17号車が。テール・トゥ・ノーズからサイド・バイ・サイドへと変わり、17号車がタイヤ交換済みのなかで再びトップに立つ。2台はその後も僅差で周回を重ね、34周終わりで全車のドライバー交代が終わると、名実ともに17号車をトップに、レースは終盤へと向かっていった。
17号車攻略を目指しす16号車は、36周目のシケインで勝負に出る。横並びのまま最終コーナーを立ち上がり、メインストレートで頭ひとつ出る形で37周目の1コーナーへ。だが、その立ち上がりでは17号車が先行。まさに手に汗握るバトルとなり、その流れ出迎えた130Rでは、17号車がGT300車両と交錯寸前に。これをチャンスにした16号車がついにトップを奪取。このあとはみるみるうちに差を広げてトップをキープする。
トップ16号車に17号車が続き、そして8号車がトップ3を形成。そのうしろにはNo.23 MOTUL Niterra Z(千代勝正/高星明誠)、さらにNo.38 KeePer CERUMO GR Supra(大湯都史樹/小林利徠斗)というオーダーで47周目へと突入するなか、今度はGT300クラス車両が130Rでクラッシュ。スピードに乗ったままコースアウトしたことで、クルマは回転して大きなダメージを負う。幸い、ドライバーはすぐ救出されて無事だったが、このアクシデントによってセーフティカー(SC)が導入される。一方、コースではクラス別の整列はじめ、130Rでのタイヤバリアの修復作業が進められたが、その間も周回数がカウントされ、レースはSC先導の隊列状態で52周のチェッカーを迎えることになった。
結果、逆転劇が実った16号車が待望のシーズン初優勝。野尻にとって通算11勝目の勝利は、今シーズンからコンビを組む佐藤のGT500初優勝になった。2位の17号車もシーズン初表彰台に。3位に続いた8号車は前戦に続き2度目の表彰台となり、予選同様にホンダ勢が大躍進し、表彰台を独占している。
- GT500クラス スタート
- GT500クラス 優勝 #16 #16 ARTA MUGEN HRC PRELUDE-GT(野尻智紀/佐藤蓮)
- GT500クラス 2位 #17 Astemo HRC PRELUDE-GT(塚越広大/野村勇斗)
- GT500クラス 3位 #8 #8 ARTA MUGEN HRC PRELUDE-GT(太田格之進/大津弘樹)
- GT500クラス 表彰式
<GT300>
GT500クラス同様、GT300クラスでも新たなポールポジション獲得チームが誕生。公式練習では、No.18 UPGARAGE AMG GT3(小林崇志/新原光太郎)が好タイムを見せ、これに前回のクラス勝者であるNo.52 Green Brave GR Supra GT(吉田広樹/野中誠太)が重いサクセスウェイトをものともせずで2番手に。さらに前戦でポールポジションを手にしたNo.45 PONOS FERRARI 296 EVO(篠原拓朗/川端伸太朗)が3番手につけるなど、好成績を残しているチームが躍動する。
だが、予選を迎えると、まずQ1・A組でNo.777 D’station Vantage GT3(藤井誠暢/チャーリー・ファグ)が、また同B組ではNo.61 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝)がトップタイムをマーク。なかでも61号車はQ1の勢いのまま、Q2でも快走。現役最多ポールポジション獲得を誇る山内がライバルより先んじて行なったアタックで1分56秒981をマークし、トップに立つ。すると、他車がまだアタック中にも関わらずピットへと帰還。これは、61号車自体がタイムアップすることが難しいという判断からだったが、皮肉にもこのあとからタイムアップするクルマが続出。チェッカー直前にNo. 9 PACIFIC ウマ娘 NAC BMWの冨林勇佑が1分56秒547を、さらに777号車が9号車に遅れること0.004秒のタイムをマーク。61号車は最終的に3番手に留まった。なお、9号車にとってはアタックを担当した冨林だけでなく、チームにとっても初めてのポールポジションだった。
- GT300クラス 予選ポールポジション #9 PACIFIC ウマ娘 NAC BMW(冨林勇佑/藤原優汰)
- GT300クラス 予選2番手#61 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝)
- GT300クラス 予選3番手 #777 D’station Vantage GT3(藤井誠暢/チャーリー・ファグ)
日曜日の決勝では、ポールスタートの9号車が安定かつ速さをアピールする走りを披露。圧巻のレース運びを見せた。予選2番手の777号車は予選4番手からポジションアップしたNo.60 Syntium LMcorsa LC500 GT(吉本大樹/河野駿佑)とのバトルを強いられ、9号車の独走を許すことに。また、61号車はペースアップ自体が難しく、No.18 UPGARAGE AMG(小林崇志/新原光太郎)にも先行される。さらに、後続車から追突されるアクシデントにも遭遇、フルコースイエローの原因となり、好走とはならなかった。
FCY明けには先陣を切って777号車がドライバー交代を敢行。その後も続々とピットインを目指すチームが増える。その一方で、9号車はなおも周回を重ね、24周終わりでピットへ。難なく作業を終え、タイや交換を済ませた車両のなかでトップとなっていた60号車の前でコース復帰を果たすことに成功する。また、前回の勝者である52号車は、この鈴鹿でもフロントタイヤ2本交換を実施。予選13番手から8番手までポジションアップを果たした。
レース終盤、9号車は後続に約15秒という大差をつけて周回。これに60号車、コツコツとポジションを上げきたNo. 7 CARGUY Ferrari 296 GT3 EVO(ザック・オサリバン/梅垣 清)、そして18号車が激しい攻防戦を繰り広げた。そんななか、7位走行中だった52号車がGT500車両に追突されて、スピン。タイヤを傷めたため緊急ピットインで1本のみを交換してコース復帰を果たしたが、その翌周の130Rで挙動を乱してコースアウト。激しくスポンジバリアに追突し、その勢いでクルマが回転するという大きなアクシデントが発生した。また、これより先に60号車はタイヤパンクチャーに見舞われ、ポジションダウンを強いられている。
52号車のアクシデントを受け、コースにはセーフティカー(SC)がコースイン。残り5周となった戦いは、その後、GT500とGT300のクラス分けや隊列を整える作業等が続き、そのままSC先導という形でチェッカーを迎えることに。結果、9号車がうれしい初勝利を達成し、冨林と藤原のふたりが揃ってSUPER GTでの初白星を手にした。2位には7号車が続き、2戦連続の表彰台に。また、3位に続いた18号車は今シーズン初表彰台。ルーキーの新原にとってもGT参戦後初の表彰台となった。
- GT300クラス スタート
- GT300クラス 優勝 #No. 9 PACIFIC ウマ娘 NAC BMW(冨林勇佑/藤原優汰)
- GT300クラス 2位 #7 CARGUY Ferrari 296 GT3 EVO(ザック・オサリバン/梅垣 清)
- GT300クラス 3位 #18 UPGARAGE AMG GT3(小林崇志/新原光太郎)
- GT300クラス 表彰式
終盤に思わぬ展開が待ち受けた鈴鹿大会を経て、次戦のSUGO大会は9月のシルバーウィークに開催される。ますます激しくなるタイトル争いを勝ち抜いていくのはどのチームになるのだろうか。
フォトギャラリー
(文:島村元子 撮影:中村佳史)































