SUPER GT 第8戦 富士スピードウェイ

SUPER GT 第8戦 富士スピードウェイ

<GT500>
au TOM’S GR Supraが優勝、逆転で年間王者を仕留める

11月28日、静岡・富士スピードウェイで迎えたSUPER GT第8戦の戦いは、思いも寄らない結果によって新たなチャンピオンが生まれることとなった。レースは予選4位スタートの#36 au TOM’S GR Supra(関口雄飛/坪井 翔)が、ライバルより秀でたスピードと強さで戦いを制すると、大逆転によるシリーズチャンピオンの座も掴むこととなった。

初冬が近づく中で朝晩の冷え込みも強くなってはいたが、予選日、決勝日ともに澄み渡った青空が広がったサーキットには、最終決戦の戦いを見届けようと、多くのファンが足を運んだ。その中でまず予選で最速ラップをマークしたのは、ディフェンディングチャンピオンの#1 STANLEY NSX-GT(山本尚貴/牧野任祐)。朝の公式練習では思うようにタイムを伸ばせなかったが、予選に向けての改善策が奏功。コースレコードを更新する好タイムでQ1をトップ通過すると、続くQ2では2番手を獲得。二連覇達成に向けて申し分のない形を作り上げた。一方、ポールポジションを手にしたのは、#14 ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/山下健太)。1号車に対し、約0.1秒差でシーズン初のポール獲得となった。

 

GT500クラススタート

GT500クラススタート

 

66周の決勝レースは、スタート直後から激しいポジション争いが繰り広げられた。予選4番手から36号車が1台、また1台と逆転し、トップ14号車の背後に迫る。一方、レースは7周目にコースアウトした車両回収のため、セーフティカーがコースイン。12周終了をもってレースが再開すると、1コーナーへの加速で36号車が14号車をパス。トップに立った。さらに36号車の僚友、#37 KeePer TOM’S GR Supra(平川 亮/サッシャ・フェネストラズ)もこれに続き、14号車は3番手へ。また、1号車もタイヤのウォームアップに苦しみ、4番手で周回を重ねた。22周を終えたタイミングでルーティンのドライバー交代が可能になると、上位陣のうち、早速1号車がピットイン。これにタイトル争いで1号車を追う#8 ARTA NSX-GT(野尻智紀/福住仁嶺)もピットへ。だが、作業に手間取り、後続車両にも先行されて、逆転優勝が遠のいていく。一方、全車両がピット作業を終えた時点でトップにいたのは36号車。これに14号車、37号車、1号車が続いたが、1号車はこのままチェッカーを受ければ王者が確定するポジションであることから、無理に前を追うというよりも後続の動きに気を遣う形で走行を続けていた。
だが、ホームストレート上のデブリ回収のために48周目から49周目にかけてフルコースイエローが発動。これを境にしてレースが大きく変化を見せる。リスタートからほどなくして、GT300車両によるタイトル争いの攻防戦が激化。そのうちの1台が1コーナー進入のブレーキングで止まりきれず、前方にいた1号車のイン側に追突。これで1号車は右フロントを損傷。走行を続けることが難しくなり、ピットでの修復を強いられた。のちにコース復帰は果たしたものの、すでに7周遅れとなり、万事休す。連覇の夢が潰えた。レースはこのまま36号車が後続を引き離して、シーズン初優勝のチェッカーを受けるとともにシリーズランキングでも大きく躍進。大逆転によるチャンピオンに輝いている。2位には37号車、さらに3位に14号車が続き、GR Supra勢が表彰台を独占する形で今シーズンの幕が下りた。

 

GT500クラス優勝 #36 au TOM'S GR Supra(関口 雄飛/坪井 翔)

GT500クラス優勝 #36 au TOM’S GR Supra(関口 雄飛/坪井 翔)

 

GT500クラス2位 #37 KeePer TOM'S GR Supra(平川 亮/サッシャ・フェネストラズ)

GT500クラス2位 #37 KeePer TOM’S GR Supra(平川 亮/サッシャ・フェネストラズ)

 

GT500クラス3位 #14 ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋 和也/山下 健太)

GT500クラス3位 #14 ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋 和也/山下 健太)

 

GT500クラス優勝 #36 au TOM'S GR Supra(関口 雄飛/伊藤 大輔 監督/坪井 翔)

GT500クラス優勝 #36 au TOM’S GR Supra(関口 雄飛/伊藤 大輔 監督/坪井 翔)

 

GT500クラス表彰式

GT500クラス表彰式

 

GT500クラス シリーズチャンピオン #36 au TOM'S GR Supra(関口 雄飛/坪井 翔)

GT500クラス シリーズチャンピオン #36 au TOM’S GR Supra(関口 雄飛/坪井 翔)

 

<GT300>
SYNTIUM LMcorsa GR Supra GT、今季2勝目を達成!
チャンピオンはSUBARU BRZ R&D SPORT!

今季4度目のポールポジションスタートを切った#61 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝)。順調にトップで周回を重ねていたが、序盤のFCY導入で各車の差が消滅すると、予選3番手の#60 SYNTIUM LMcorsa GR Supra GT(吉本大樹/河野駿佑)が速さにモノを言わせ、23周目の1コーナーでイン側から61号車を鮮やかに逆転する。その後、27周終わりで61号車がピットイン、その翌周に60号車もドライバー交代を行ない互いを牽制。60号車は順調に周回を重ねていったが、逆に61号車は思うようにペースアップできず、後続の車両に先行を許すことになってしまった。その後、48周目にはホームストレート上のデブリ回収のために、僅かな時間ながらFCYが発動され、そのリスタート後から激しいポジション争いを展開。61号車をランキング3位の#55 ARTA NSX GT3(高木真一/佐藤 蓮)が追い立てる中、1コーナーでブレーキングミスによって、GT500車両に接触。これで戦線離脱に追いやられてしまった。さらに、終盤に入るとトップ52号車が最終コーナー立ち上がりで痛恨のスピン。どうやら事前に他車との接触でタイヤトラブルに見舞われたようで、ポジションダウンを喫してしまう。これで60号車がトップを奪還。さらに安定感ある走りを味方にした#65 LEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/菅波冬悟)が2位に続いた。そして3位は61号車。残り2周となったアドバンコーナーで鮮やかに#4 グッドスマイル 初音ミク AMG(谷口信輝/片岡龍也)を逆転してチェッカー。これにより、チームはじめ、ドライバーふたりにとっても初となるGT300クラスのシリーズタイトルを手にしている。

 

GT300クラススタート

GT300クラススタート

 

GT300クラス優勝 #60 SYNTIUM LMcorsa GR Supra GT(吉本 大樹/河野 駿佑)

GT300クラス優勝 #60 SYNTIUM LMcorsa GR Supra GT(吉本 大樹/河野 駿佑)

 

GT300クラス2位 #65 LEON PYRAMID AMG(蒲生 尚弥/菅波 冬悟)

GT300クラス2位 #65 LEON PYRAMID AMG(蒲生 尚弥/菅波 冬悟)

 

GT300クラス3位 #61 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口 卓人/山内 英輝)

GT300クラス3位 #61 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口 卓人/山内 英輝)

 

GT300クラス優勝 #60 SYNTIUM LMcorsa GR Supra GT(河野 駿佑/飯田 章 監督/吉本 大樹)

GT300クラス優勝 #60 SYNTIUM LMcorsa GR Supra GT(河野 駿佑/飯田 章 監督/吉本 大樹)

 

GT300クラス表彰式

GT300クラス表彰式

 

GT300クラス シリーズチャンピオン #61 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口 卓人/山内 英輝)

GT300クラス シリーズチャンピオン #61 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口 卓人/山内 英輝)

 

GT500クラス決勝正式結果
GT300クラス決勝正式結果

(文:島村元子 写真提供 GTA)