第6戦SUGO、最終ラップの激闘を制したNo.24 リアライズコーポレーション ADVAN Zがシーズン初優勝!
<GT500>
シリーズ第6戦の舞台となる宮城・スポーツランドSUGOでの戦いが9月20、21日に開催。秋晴れの下で激しいバトルが繰り広げられた。後半、赤旗中断を含む荒れ模様となったが、最終盤に僅差のトップ争いを展開し、劇的な大逆転を果たしたNo.24 リアライズコーポレーション ADVAN Z(松田次生/名取鉄平)が待望の今シーズン初優勝を達成している。
第5戦まで厳しい暑さでのレースが続いた今シーズン。だが、今回のSUGO戦は土曜早朝の雨を境に気温がぐっと下がり、過ごしやすい天候でのレースとなった。一方、初日の公式練習は雨の影響を受け、ウェットコンディションからスタート。時間とともに緩やかにドライアップすることとなり、終盤には各車がスリックタイヤを装着し、午後からの予選に向けてのクルマ作りに勤しんだ。
このセッションでNo.17 Astemo CIVIC TYPE R-GT(塚越広大/小出峻)がトップタイムをマーク、これにNo.64 Modulo CIVIC TYPE R-GT(伊沢拓也/大草りき)、さらにNo. 3 Niterra MOTUL Z(佐々木大樹/三宅淳詞)が続き、タイトル争いで上位につけるNo.1 au TOM’S GR Supra(坪井翔/山下健太)やNo.14 ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/福住仁嶺)はサクセスウェイトと併用する燃料流量リストリクターの影響も大きいのか、下位に留まる結果となった。
迎えた予選。気温23度、路面温度33度の条件下でQ1がスタート。硬めのタイヤを選択するチームが早々にコースインし、ウォームアップを始める。そんななか、朝の公式練習でのトップタイムを真っ先に上回ったのは、No.16 ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #16(大津弘樹/佐藤蓮)。だが、チェッカー直前にNo.39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra(関口雄飛/サッシャ・フェネストラズ)がコースレコード更新となる1分09秒365を刻んでトップに立ってみせた。なお、公式練習で2番手につけていた64号車や、ホンダ勢でランキングトップにつけるNo.100 STANLEY CIVIC TYPE R-GT(山本尚貴/牧野任祐)がまさかのQ1落ちとなる一方、1号車、14号車は手堅くタイムをまとめ、Q2へと駒を進めている。
気温、路面温度ともその後もほぼ変わらず、午後3時16分からQ2がスタート。Q1通過を果たした10台によってポールポジションを狙うアタックが始まった。このセッションでも39号車、16号車は安定した速さを披露。16号車がコースレコードをさらに更新する1分09秒122のタイムを早いタイミングでマークしてトップに立つと、セッション終盤に39号車が2番手に浮上。さらに3号車がこれに続く結果となった。なお、1号車は4番手につけるパフォーマンスを披露。脅威的な存在感を見せつけた。
- GT500クラス予選ポールポジション No.16 ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #16(大津弘樹/佐藤蓮)
- GT500クラス予選2番手 No.39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra(関口雄飛/サッシャ・フェネストラズ)
- GT500クラス予選3番手 No. 3 Niterra MOTUL Z(佐々木大樹/三宅淳詞)
翌日の決勝日は秋晴れの青空がサーキット一面に広がる好天気に。やや冷たく強い風が吹いていたが、天候が大きく崩れることはなかった。決勝直前のウォームアップ走行では、1台の車両がピットロード出口で停止。この回収作業のために赤旗中断となり、その後の進行はすべて10分遅れで進めらることになった。
オープニングラップはポールの16号車が後続を牽引し、先頭をキープ。しかし、タイヤが発動し始めると、背後につけていた39号車がペースアップして6周のメインストレートで16号車を逆転。以後、逃げる39号車に16号車、さらに予選5番手だったNo.24 リアライズコーポレーション ADVAN Z(松田次生/名取鉄平)がポジションアップを果たす。24号車はその後も勢いを味方に3番手で周回を続け、12周目には1コーナーから2コーナーにかけてアウト側から16号車を逆転してみせた。その後はコース上での接触等でFCY(フルコースイエロー)の導入もあったが、39号車と24号車はつねに激しい攻防戦を展開。一度は24号車が前に出たものの、39号車が抜き返してポジションキープのままレース3分の1が消化した。なお、この28〜29周終わりのタイミングで10台がルーティン作業を実施。逆にトップ2台は40周前後にピットイン。中盤以降の展開に注目が集まった。
GT500車両の全車がピット作業を終えた44周目。その直後、GT300車両の1台がピットロード出口で停止。レース2回目のFCYが導入されるも、6分ほどで解除される。一方、コース上ではGT500とGT300両クラスが入り乱れて激しい渋滞となり、最終コーナーからメインストレートに戻る上り坂で複数のクルマが絡むマルチクラッシュが発生する。大破した複数のクルマのパーツがコース上に散乱。またクラッシュによってピットロード入口付近のガードレールも激しく損傷するなど大きなアクシデントとなったことでSC(セーフティカー)が導入されたが、すぐさま赤旗が提示され、レースが一旦中断した。
クラッシュに遭遇したドライバーはみな幸い大きな怪我もなかったが、修復作業等、レース再開に向けての作業はおよそ1時間に及ぶことに。また、ようやく午後4時からの再スタートが確定したが、最大延長時間との兼ね合いで再開後はタイムレースとなり、残り30分による戦いへと変わった。SCスタートからのレースでは、トップの39号車が逃げる一方、これに17号車と24号車が喰らいつく。24号車はまず17号車を攻め立て、残り12分の時点で逆転して2位に浮上。さらにGT300のバックマーカーに行く手を塞がれた39号車がペースを落とすと、24号車だけでなく17号車、さらにはその背後にいた16号車までが縦一列につながって僅差の争いへ。そして迎えた70周目。馬の背コーナーでトップ39号車と追う24号車が並走する形となり、24号車が続くSPコーナー進入で一気に畳み掛け、39号車を逆転。そのまま39号車を押さえ切って大逆転勝利を手にした。24号車にとっては、2016年以来となる待望のシーズン初優勝であり、チームドライバーの松田にとっては通算25勝目に。また、自らが持つGT500クラスの最多勝利数をひとつ伸ばすことになった。そして名取は待望のGT500クラス初優勝を飾っている。そして、2位39号車に続いたのは、17号車。こちらもシーズン初表彰台獲得となった。
- GT500クラススタート
- GT500クラス優勝 No.24 リアライズコーポレーション ADVAN Z(松田次生/名取鉄平)
- GT500クラス2位 No.39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra(関口雄飛/サッシャ・フェネストラズ)
- GT500クラス3位 No.17 Astemo CIVIC TYPE R-GT(塚越広大/小出峻)
- GT500クラス表彰式
<GT300>
GT300クラスでは、課されるサクセスウェイトが上限を迎えたクルマが増えたこともあり、まだその領域に達していないクルマが公式練習〜予選で好タイムを刻んだ。とりわけ安定感ある速さを見せていたのは、前回の鈴鹿で劇的勝利を遂げたNo. 7 CARGUY Ferrari 296 GT3(ザック・オサリバン/小林利徠斗)。公式練習では下位に沈んだが、Q1・A組をトップで通過すると、Q2ではSUGOでのGT300クラスのコースレコードと僅差の好タイム、1分16秒968を刻んでトップに浮上。アタックを務めた小林にとって自身初のクラスポール獲得になった。
- GT300クラス予選ポールポジション No. 7 CARGUY Ferrari 296 GT3(ザック・オサリバン/小林利徠斗)
- GT300クラス予選2番手 No.60 Syntium LMcorsa LC500 GT(吉本大樹/河野駿佑)
- GT300クラス予選3番手 No. 0 VENTENY Lamborghini GT3(小暮卓史/元嶋佑弥)
レースでは、予選2番手につけたNo.60 Syntium LMcorsa LC500 GT(吉本大樹/河野駿佑)が序盤からハイペースで7号車を追い立てた。なお、60号車は前回の鈴鹿で2位フィニッシュするも、レース後の車検で車両重量不足が判明。車両違反のペナルティを受けているだけに、今回はリベンジ戦として挑むことに。また、その後方には昨年のクラスチャンピオンNo. 0 VENTENY Lamborghini GT3(小暮卓史/元嶋佑弥)が続き、レース序盤は実力派の戦いの行方に注目が集まった。
ところが、まずその中で7号車が後退。ペースが伸び悩み、序盤にあっさり60号車の先行を許したあとはズルズルとポジションを下げてしまう。逆にトップに立った60号車は、2位以下を5秒近く引き離す快走。これに予選4番手のNo. 4 グッドスマイル 初音ミク AMG(谷口信輝/片岡龍也)や同7番手のNo.56 リアライズ日産メカニックチャレンジGT-R(ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ/平手晃平)が続いた。
60号車は28周終わりにルーティンのピットインを実施したが、逆に4号車、56号車は遅めのピットインを敢行。トップ争いは後半以降に新たな局面を迎えるかに思われたが、48周目の最終コーナーからメインストレートにかけて発生したマルチクラッシュでレースは赤旗中断に。およそ1時間後にリスタートが切られ、タイムレースとして残り30分の戦いを繰り広げるなか、依然として60号車が速さを見せつけトップチェッカー目指した。
2番手の56号車も、同じくハイペースで最後の最後まで逆転のタイミングを伺ったが、60号車が勝利へと突き進む形でチェッカーを迎え、2011年以来の勝利を味わうことに。惜敗の56号車だったが、開幕戦岡山以来となる表彰台に上がっている。なお、今シーズンはオリベイラが複数戦欠場しているため、平手のみがランキング2位へと浮上することに。なお、今回11位チェッカーを受けた暫定トップのNo.65 LEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/菅波冬悟)と、56号車との差はわずか3.5点に縮まっている。
3位には終盤に粘り強くポジションアップのタイミングを狙っていたNo.666 seven x seven PORSCHE GT3R(近藤翼/ハリー・キング)が続き、シーズン初の表彰台を獲得。ランキング上位のクルマが厳しいレース展開になり、逆にランキング浮上を目論んだチームが流れに乗ってポイントをしっかり計上する結果となった。
- GT300クラススタート
- GT300クラス優勝 No.60 Syntium LMcorsa LC500 GT(吉本大樹/河野駿佑)
- GT300クラス2位 No.56 リアライズ日産メカニックチャレンジGT-R(ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ/平手晃平)
- GT300クラス3位 No.666 seven x seven PORSCHE GT3R(近藤翼/ハリー・キング)
- GT300クラス表彰式
フォトギャラリー
(文:島村元子 撮影:中村佳史)