終盤戦の富士。初日は赤旗終了のなか、フェネストラズが勝利
10月11日、静岡・富士スピードウェイにおいて全日本スーパーフォーミュラ選手権の富士大会が開幕し、この日はワンデーレース形式として第9戦を開催。翌日も同じスタイルで第10戦を実施する。雨模様となった土曜のレースはセーフティカー先導でスタートを切ったが、雨が降り続いて天候が回復せず。結果、2度目の赤旗をもってレース終了となった。これを受け、ポールポジションスタートのNo.37 サッシャ・フェネストラズ(VANTELIN TEAM TOMʼS)が自身2勝目を手にしている。
今シーズンの戦いも最終盤。タイトル争いの渦中にいるドライバーとしては、なんとしても好結果を狙いたいところ。しかしながら、前夜遅くから雨が降り出したサーキット周辺の天気は当日になっても回復せず、フルウェットのコンディションに見舞われた。
午前10時10分から予選がスタート。気温17度、路面温度20度というコンディションのなか、Q1・A組に臨む11台がコースへと向かう。10分間のセッションで残り1分を切るタイミングで各車がベストタイムを更新する形となり、No.38 阪口晴南 (SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)が暫定トップへ。このままチェッカーを迎えるかと思われたが、フラッグが振られる直前にNo.15 岩佐歩夢(TEAM MUGEN)が1分31秒884をマーク。A組トップ通過を果たし、阪口が2番手、そしてフェネストラズが3番手で続いた。
Q1・B組にはチャンピオン争いで暫定トップに立つNo.1 坪井 翔(VANTELIN TEAM TOMʼS)やランキング3位のNo. 6 太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が出走。セッション残り1 分の時点でNo. 3 山下健太(KONDO RACING)が暫定トップに立つも、No.16 野尻智紀(TEAM MUGEN)が1000分の2秒差で逆転。しかしチェッカーが振られるなか、坪井が野尻よりも0.180秒速いタイムをマークしてトップを奪取した。なお、Q2へは6チームの2台ずつが進出している。
午前10時45分、ポールポジション目指してQ2がスタート。7分の争いは終盤に思わぬハプニングが待っていた。少し雨量が弱まる一方、霧が濃くなり視界が徐々に悪化する。そのなかでチェッカーまで残り2 分を切ってからポジション争いが動き始める。まず岩佐が1分33秒196のタイムで暫定トップに立ち、2番手はフェネストラズ。すると残り50秒の時点で、アタック中だった岩佐がコカ・コーラコーナー立ち上がりで態勢を乱し、100R外側のタイヤバリアにクラッシュしてしまう。これを受けてセッションは赤旗中断に。各車再開を待っていたが、クルマの回収やタイヤバリアの修復等に時間を要すことから、この赤旗をもって予選終了となった。
岩佐はセッションでトップに立っていたが、赤旗の原因となったことでQ2でのタイムは全抹消に。結果、フェネストラズが自身初となるスーパーフォーミュラでのポールポジションを手にしている。2位に坪井が続いたことで、チームとしては2021年第3戦オートポリス以来となる予選フロントロウの独占を果たした。
- 予選ポールポジション #37 サッシャ・フェネストラズ(VANTELIN TEAM TOMʼS)
- 予選2番手 #1 坪井 翔(VANTELIN TEAM TOMʼS)
- 予選3番手 #16 野尻智紀(TEAM MUGEN)
午後に入っても天候は回復するどころか雨脚が強まる。結果、午後3時からの決戦は、セーフティカー(SC)先導によるフルウェットでの戦いとして幕を開けた。なお、Q2でクラッシュを喫した岩佐は、修復時にエンジン載せ替えをしており、最後尾スタートを切った。だがレースはSC先導が続き、6周走行中には赤旗が提示されてセッションが中断する。
およそ30分後にレースは再開。あらためてSC先導でレースが始まるが、天候に変化はなく、逆に霧が濃くなってくる。結果、14周走行中に2度目の赤旗によってレースが中断した。その後、長らくコース上にクルマが停止した形でレース再開が待たれたが、日没も近づき、また天候回復も見込めないことからレースは2度目の赤旗をもって終了になった。なお、赤旗でレースを終えるのは2024年第3戦SUGO以来のこと。一方、フェネストラズと坪井は、TOM’Sコンビとしてワン・ツーフィニッシュを達成。チームとしては、2015年第1戦鈴鹿以来となる好結果を手にしている。
- 優勝した #37 サッシャ・フェネストラズ(VANTELIN TEAM TOMʼS)
- 2位 #1 坪井 翔(VANTELIN TEAM TOMʼS)
- 3位 #16 野尻智紀(TEAM MUGEN)
- 第9戦はセーフティーカースタート
- 第9戦表彰式
第10戦は濃霧により、決勝は中止に
10月12日、昨日に続き静岡・富士スピードウェイで全日本スーパーフォーミュラ選手権が開催された。この日は第10戦としてワンデーレースが行なわれ、予選でNo. 5 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が自身シーズン2度目のポールポジションを手にした。一方、決勝は濃霧のためスタートが幾度となくディレイ。午後3時35分に中止が発表された。
前日に行なわれた第9戦は、終日雨模様。フルウェットながら予選は出来たものの、午後からの決勝はセーフティカースタートとなり、また2度にわたる赤旗中断の末に14周でレースが終了している。また、規定周回数に達していないため、入賞ドライバーにはハーフポイントが与えらることに。タイトル争いでポジションアップを狙うドライバーにとっては厳しい結果になってしまった。
大会2日目は幸いにして雨が上がったものの、コース上はまだウェットパッチが残る状態。気温20度、路面温度23度のコンディションで始まった予選Q1・A組では、まず金曜日の公式練習で好調だったNo. 5 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、さらにルーキーのNo.65 イゴール・オオムラ・フラガ(PONOS NAKAJIMA RACING)がトップ2につける。その一方で、前日ポール・トゥ・ウインを果たしたNo.37 サッシャ・フェネストラズ(VANTELIN TEAM TOMʼS)がまさかのQ1敗退となっている。
Q1・B組にはランキングトップのNo.1 坪井 翔(VANTELIN TEAM TOMʼS)、同3番手のNo. 6 太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)らが出走。チェッカーまで残り2分弱となるなか、太田が暫定トップタイムをマーク。その流れでさらにもう1周アタックに向かうも、1コーナー飛び込みでタイヤをロック。ベストタイム更新は果たせなかった。だが、その後も太田のタイムを上回るドライバーは現れず。結果、太田がB組トップ通過を果たし、坪井、さらにNo.16 野尻智紀(TEAM MUGEN)がこれに続いた。
Q2では、ポールポジション獲得を目指す12台が出走。さらに霧が濃くなったが雨にはならず、引き続きドライコンディションでの走行となった。各車早めのタイミングでコースインするが、本格的にアタックが始まったのは、ラスト2分を切ってから。チェッカーまで30秒ほど残るなか、牧野が1分22秒123をマークして暫定トップに。その直後、太田が01秒差で2番手に続く。すると、野尻、No.15 岩佐歩夢(TEAM MUGEN)もタイムアップ。前日、アタックでクラッシュを喫した岩佐が暫定3番手に浮上した。しかしチェッカーと同時にNo.65 イゴール・オオムラ・フラガ(PONOS NAKAJIMA RACING)がトップ牧野に0.076秒の僅差で迫り、2番手へ。結果、太田が3番手となり予選が終了した。ルーキーのフラガにとっては、今季自己ベストのポジション。また、坪井は7番手からどこまで追い上げを見せるのか。決勝の行方に注目が集まる結果となった。
- 予選ポールポジション #5 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
- 予選2番手 #6 太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
- 予選3番手 #65 イゴール・オオムラ・フラガ(PONOS NAKAJIMA RACING)
予選後、サーキットではピットウォークやサポートレースが曇り空の下で行なわれた。だが、午後2時5分から予定されていたスタートセレモニーを前に濃い霧が立ち込めるようになる。大会主催者は10分刻みでセッションのディレイを発表。だが、一向に回復する兆しはなく、最終的に午後3時35分にレース中止の最終判断が下されることになった。前日の第9戦は降雨の影響でセーフティカーランからの赤旗終了、そして今日の第10戦は濃霧によるキャンセルとなった富士。両日とも決戦のバトルは披露されることなく、最終大会の鈴鹿にすべてが持ち越されることになった形だ。今シーズンは終盤に入り、僅差のチャンピオン争いを展開しているだけに、今大会のレースキャンセルが最終大会でどのような影響を与えるのだろうか。その鈴鹿では第11戦、第12戦を実施、今回同様のワンデーレースを2日間にわたって繰り広げる予定となっている。
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(文:島村元子 撮影:中村佳史)