SUPER GT 第2戦 富士 レポート&フォトギャラリー

SUPER GT 第2戦 富士 レポート&フォトギャラリー

大荒れの第2戦富士、勝利はARTA NSXの手に

<GT500>

5月3、4日のゴールデンウィーク中、SUPER GT第2戦富士大会が開催された。450km、100周という長丁場のレースは折り返しを前に、アクシデントが発生。これを境にアクシデントが続発。後半においては長い時間レースが中断され、最後はセーフティカーランによりチェッカーが振られることになった。

気温、路面温度が上がる中でノックアウト予選が始まり、開幕戦の勝者#14 ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/山下健太組)や3位だった#23 MOTUL AUTECH Z(松田次生/ロニー・クインタレッリ組)がQ2に駒を進めず、#100 STANLEY NSX-GT(山本尚貴/牧野任祐組)はQ2進出を果たすも7番手と苦戦。そんな中、ヨコハマタイヤ勢が速さを見せる。Q1よりもさらに4度近く路面温度が下がったQ2で一気に躍進。#19 WedsSport ADVAN GR Supra(国本雄資/阪口晴南組)が1分26秒137とダントツの速さで今シーズン初のポールポジションを獲得。2番手には同じヨコハマタイヤの#24 リアライズコーポレーション ADVAN Z(佐々木大樹/平手晃平組)が続き、ヨコハマ勢によるフロントロウ独占という結果になった。

予選日よりもさらに天候がよくなった決勝日。強い日差しもあり、決勝前には気温20度、路面温度35度というコンディション。各車が選択したタイヤパフォーマンスにどんな差が現れるのか、気になる幕開けでもあった。そんな中、フロントロウのヨコハマ勢を追いかける他メーカーのウォームアップが優位に立ち、予選4番手の#37 KeePer TOM’S GR Supra(サッシャ・フェネストラズ/宮田莉朋組)が即座にトップを奪取する。これに、#36 au TOM’S GR Supra(坪井 翔/ジュリアーノ・アレジ組)、#3 CRAFTSPORTS MOTUL Z(千代勝正/高星明誠組)が続いたが、その後、36号車は37号車を逆転、トムス勢同士の激しいトップ争いを展開した。

レースは周回距離3分の1を前にルーティンのピットインが始まる。一方、戦略的に1回目のピットインを大幅にずらすチームもあり、最も遅くに敢行したのが#39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra(関口雄飛/中山雄一組)だった。すると、ほぼ同じタイミングえGT300の1台がヘアピンで激しくクラッシュ。最初はFCY(フルコースイエロー)が宣言されたが、すぐさまSC(セーフティカー)ランへと切り替わり、ほどなくして48周目に赤旗中断に変わる。これは、ガードレースの損傷が激しく、レースを続行したままでの修理が難しいというのが理由だった。

およそ25分後にレースは再開、すると、2台のトムス勢が激しく牽制した形で1コーナーに進入。前を走る36号車は1コーナー進入でオーバーランを喫し、代わって37号車が前に出たが、その背後にはピットインのタイミングを遅らせたことが奏功し、3位へとポジションアップしていた39号車が新たに逆転のタイミングを伺っていた。ちょうど36号車がコースに復帰すると、37号車と接触。失速した2台に対し、39号車はチャンスを活かして鮮やかに逆転。この勢いに#3 CRAFTSPORTS MOTUL Z(千代勝正/高星明誠組)も続いた。

そして迎えた59周目。最終コーナーから39号車、3号車、さらに37号車が縦一列になってメインストレートに入ってくる。その前にはトラブル発生によりスロー走行していたGT300車両が1台。トップ39号車はスリップを使おうと一旦この300車両に接近していたが、ペースが遅いことに気が付き、ラインを変更。39号車の背後にいた3号車
は突如現れた車両を回避すべくステアリングを切ったが、その瞬間にクルマがバランスを崩し、失速することなくグランドスタンド側のガードレールに激突。何度も当たりながらコースサイドに停止したが、これによりボディパーツが周辺に散乱した。この惨事に2度目の赤旗が提示され、レースは中断に。ドライバーが自力で下車できたのが幸いだった。

損傷したガードレールを修復してレース再開を目指す中、広範囲にわたって作業が必要ということもあり、乗車したままメインストレートで待機していたドライバーには降車が許される。なお、この時点で車両の作業は認められていなかったが、39号車の関口はクルマの状況を確認しようとフロントカウル部を触ってしまい、のちにペナルティが課せられることに。レース自体は、中断からおよそ1時間半後となる午後6時10分に再開。大会規定で決まっていた延長最大時間午後6時20分を過ぎた時点でチェッカーが振られ、62周終了でレースが成立した。一方で、当初の規定周回数の75%を消化していないことから、与えられるのはハーフポイント扱いとなる。

なお、39号車を先頭にチェッカーを受けたものの、39号車は作業規定違反でレース後に40秒タイム加算のペナルティを受け、さらに2番手チェッカーの37号車もリスタート時の36号車との接触がペナルティ扱いとなり、同様にタイム加算。これにより、3番手でチェッカーを受けた8号車に優勝が転がり込むことになった。また、2位は36号車、そして3位は#12 カルソニックIMPUL Z(平峰一貴/ベルトラン・バゲット組)という結果になっている。
<GT300>
開幕戦の予選でも速さを見せた#10 TANAX GAINER GT-R(富田竜一郎/大草りき組)が引き続き、富士でも好調をアピール。だが、これをおよそ0.4秒近く上回る1分34秒888という好タイムをマークしたのが、#61 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝組)だった。アタック担当の山内はこれで自身通算10回目のポールポジション獲得となる。

ポールスタートの61号車に対し、スタート直後から猛烈にアタックを見せた10号車。タイヤのウォームアップが異なるのか、コカ・コーラコーナーの立ち上がりでトップを奪取してみせた。その後、10号車と61号車とは付かず離れずの状態となり、逆に3番手争いが激しくなっていく。14周目にはコカ・コーラコーナーで予選3番手の#96 K-tunes RC F GT3(新田守男/高木真一組)が予選4番手の#34 BUSOU raffinee GT-R(柳田真孝/井出有治組)を鮮やかな逆転劇を見せた。

トップを走る10号車は、ライバルに先んじて1回目のルーティンを実施。比較的29周終わりと早いタイミングだったが、これに34号車が続き、逆に61号車は38周終わりと遅めに実施。しかし、作業に手間取ったか時間を要し、コース復帰後は34号車が先行する形に変わった。そんな中、1回目の赤旗を招くアクシデントが発生。リスタート後も10号車がリードする形に変わりはなく、後半での展開に期待が集まったが、ほどなくして2度目の赤旗となる事態が発生。長い待機時間を経て再開したレースも、SCランでの周回となったためにポジションは変わらず。結果、レース直後にライバルを制した10号車がうれしい初優勝を果たすことになった。

(文:島村元子 撮影:中村佳史)