スーパーフォーミュラ 第8戦 菅生 レポート&フォトギャラリー

スーパーフォーミュラ 第8戦 菅生 レポート&フォトギャラリー

真夏のSUGO戦、岩佐歩夢がポール・トゥ・ウィン達成!

8月9、10日に宮城・スポーツランドSUGOにおいて、全日本スーパーフォーミュラ選手権第8戦が開催された。厳しい夏の暑さのなかで熱戦が繰り広げられ、予選・でトップタイムをマークしたNo.15 岩佐歩夢(TEAM MUGEN)が荒れた天候とレースを見事にコントロール。待望の自身初優勝を遂げた。

久々に1大会1レースの開催となった今回のスーパーフォーミュラ。拾のところ、第5戦大分・オートポリスも同じフォーマットで開催する予定だったが、天候不良によって予選がキャンセルされ、もともとの決勝日に予選、決勝を行なうワンデーレースへと変更された経緯がある。結果、SUGOでようやく予選、決勝を各日に実施することが実現することとなった。一方、SUGO戦が8月に開催されるのは、2002年以来、実に23年ぶりになる。

予選日の午前9時にはフリー走行が始まり、1時間30分のセッションではルーキーのNo.50 小出 峻(San-Ei Gen with B-Max)がトップタイムをマーク。午後からの予選に向けて弾みを付けることに。だが、自身が出走したQ1・B組では、アタック中にバランスを崩し、5コーナーで縁石にクルマを乗り上げて挙動を乱してしまう。タイヤもバーストし、その場にストップ。アタックを終えるという悔しい結果になった。

一方、Q1・A組で気を吐いたのは、今年からスーパーフォーミュラに復帰したNo.37 サッシャ・フェネストラズ(VANTELIN TEAM TOMʼS)。A組トップ通過を果たしている。これにNo.39 大湯都史樹(SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)、No.16 野尻智紀(TEAM MUGEN)が続いたが、現時点でランキング暫定22位のNo. 6 太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)はグリップ不足に悩まされ、Q2進出を果たせなかった。

Q1・B組では、先述のように小出がコース上にストップしたことを受け、セッションが赤旗中断に。残り5分弱でリスタートが切られ、改めてのタイムアタックが始まる。ここでトップタイムをマークしたのは、No.65 イゴール・オオムラ・フラガ(PONOS NAKAJIMA RACING)。0.092秒という僅差で岩佐が2番手、さらにNo. 4 ザック・オサリバン(KONDO RACING)が快走を見せて3番手でQ1を通過した。

ポールポジションが決定するQ2は7分間の勝負。Q1・B組の赤旗中断の影響を受け、予定より13分遅れで幕が上がる。コースインしてしばらくピットで待機するクルマや、セッション開始からピットを動かないクルマなど、それぞれアプローチが異なってはいたが、各車が慌ただしく動き始めたのは、残り時間2分を切ってから。アタックに向かうと、まずフェネストラズが1分05秒766の好タイムでトップに浮上。だが、間髪おかず岩佐がさらに0.249秒縮めて1分05秒517の最速ラップをマーク。このあと、誰も岩佐のタイムを上回ることがなかったため、岩佐の今シーズン初となるポールポジションが確定した。なお、2番手のフェネストラズに続き、3番手を得たのはNo.38 阪口晴南 (SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)だった。一方、ランキング暫定トップの坪井は4番手、さらに同3位のNo. 5 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)は7番手とやや精彩を欠く結果に終わった。

 

翌日の決勝日は朝から雨模様に。フリー走行でシーズン初のウェットタイヤを装着し、午後からの決勝に備えた。午後2時20分、雨は止んでいたものの、レースは通常のスタンディングスタートではなくセーフティカー(SC)先導によってスタートを迎える。4周走行中にSCのフラッシュライトが消灯し、事実上のレースがスタート。逃げる岩佐に対し、フェネストラズがオーバーテイクシステム(OTS)を活用して迫ったが、逆転は果たせず。逆に予選4番手の坪井は前を走る阪口を鮮やかに抜き去った。

その後、中団を走るNo.64 佐藤 蓮(PONOS NAKAJIMA RACING)がスピンからコースアウト。クルマを一旦止めてしまったため、SCがコースイン。14周終了時まで再びレースがコントロールされた。リスタート後も岩佐は快走を見せ、フェネストラズはその後塵を拝するのみ。とはいえ、1秒を切る僅差でトップ争いを続けていく。一方、3番手以降は残る表彰台の一角を狙って激しいポジション争いを繰り広げる。さらに後方では、攻防戦を続けていた2台が21周目に接触。うち1台がその後コースアウトしてタイヤバリアに激突するアクシデントとなり、再びコースにSCが導入された。

レース折り返しを前に荒れた展開が続き、またタイヤバリアの修復に時間がかかることから、予定された51周でのレース完了は難しく、その結果75分間の時間レースへと切り替わることに。レースは28周終了時点で再開したが、レース終了までに残された時間は26分弱となる。岩佐を先頭にトップ3に動きは見られなかったが、逃げる阪口と追う福住による4位争いが激化。さらにその後方では予選16番手から怒涛の追い上げを見せる太田が猛プッシュし、入賞圏内を目指した。

一方、終盤になってもトップ3は僅差での周回が続く。さらに、その後方では阪口を抜き去った福住が表彰台の一角を目指して猛追を見せ、40周を迎えるとトップ4台が連なる態勢となる。そして残り3分を切ると、OTSを使って勝負に出た福住がついに坪井攻略に成功、3番手に浮上した。レースはその後も岩佐による盤石の走りが続き、手堅くトップをキープしたままチェッカー。2024年のデビュー以来、なかなか勝利に恵まれなかった岩佐がポール・トゥ・フィニッシュという申し分ない形で、待ちわびた優勝を実現させることとなった。また2位のフェネストラズも今年から日本国内のレースに復帰後初の、また3位の福住も、今シーズン初の表彰台獲得を果たしている。

 

今回の結果を受け、シリーズランキング争いは依然として坪井が暫定トップをキープしているが、今回躍進した岩佐が5点差で2位へと浮上。厳しいレースから8位チェッカーとなった太田がランキング3位で終盤戦へ向かうことになる。

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(文:島村元子 撮影:中村佳史)