スーパーフォーミュラ 第9・10戦 富士 レポート&フォトギャラリー

スーパーフォーミュラ 第9・10戦 富士 レポート&フォトギャラリー

第9戦富士、フラガが自身初ポール・トゥ・ウイン!

10月10日、静岡・富士スピードウェイにおいて全日本スーパーフォーミュラ選手権第9戦の予選、決勝がワンデーレースとして実施された。41周の戦いを制したのは、予選トップからスタートしたNo.65 イゴール・オオムラ・フラガ(PONOS NAKAJIMA RACING)が完璧なレース運びを見せて完勝。自身初のポール・トゥ・ウインで今シーズン2勝目を挙げた。

8月上旬の開催を最後におよそ2ヶ月のインターバルが設けられていたスーパーフォーミュラ。今回の富士大会は土曜、日曜にそれぞれ予選と決勝を行なうワンデーレーススタイルで争われる。このため、金曜日には専有走行のなお、レースウィークを前にして3つの大型台風が接近する可能性もあったが、日本列島の手前で北寄りに進路を変更して北上。幸い、大きな影響を与えることもなく、富士でのレースは秋晴れの穏やかなコンディション下で開催を迎えている。

なお、今回はシリーズ参戦するNo.38 阪口晴南 (SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)が、目の負傷で出走を取りやめており、急きょスーパーフォーミュラ・ライツやSUPER GT・GT300クラスに参戦する卜部和久が代役出走のチャンスを得ることとなった。

午前9時40分、公式予選Q1・A組がスタート。気温21度、路面温度30度のコンディションのなか、まず12台がコースインする。10分間のセッションでトップタイムを刻んだのは、No. 5 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)。これに、1000分の2秒という僅差でフラガ、さらにルーキーのNo.50 野村勇斗(San-Ei Gen with B-Max)が続いた。続くQ1・B組では、ランキング暫定トップをひた走るNo. 6 太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)がB組トップ通過を果たし、順調な滑り出しを見せる。これに、No.12 小出 峻(ThreeBond Racing)、No.36 坪井 翔(VANTELIN TEAM TOMʼS)が続き、ぶっつけ本番の初アタックを迎えた卜部も5番手タイムをマークする好走を見せた。

Q2は、午前10時15分にスタート。10分間のセッションで残り時間2分が迫るなか、各車が本格的なアタックを開始する。そこでまず太田がトップに躍り出るも、フラガがトップタイムを更新して1分21秒714を叩き出す。その後、チェッカーを受けるドライバーたちがこのタイムを更新することはなく、フラガの自身初ポールポジションが確定。太田が2番手に続き、3番手には野村。第4戦鈴鹿に続き、自己ベストタイの結果を手にした。なお、シリーズ争いで太田を追うNo. 1 岩佐歩夢(TEAM MUGEN AUTOBACS)は4番手、初レースを迎える卜部は11番手からスタートを切ることになった。

引き続き快晴に恵まれた富士。午後3時に41周の戦いが幕を開ける。ポールスタートのフラガがスタートを決めるも、太田はやや出遅れ、岩佐の先行を許してしまう。だが、2周目にはポジション復帰を果たし、フラガを追う。また野村も予選5番手のNo.16 野尻智紀(TEAM MUGEN AUTOBACS)に逆転され、5番手から逆転を目指した。だが、後半にはクルマの不調によりピットへ帰還。レースを終えている。そんななか、安定した速さを見せたのが予選6番手のNo.19 ザック・オサリバン(TEAM IMPUL)。来シーズンのフォーミュラE参戦が決定しているイギリス人は、12周目に岩佐をコカ・コーラコーナーでパス。前の太田を追いかけた。

ルーティンのタイヤ交換が可能となる中、真っ先にピットを目指したのは野尻。その後、後続車も1台また1台とピットに入るが、トップ3で真っ先に動いたのは岩佐だった。また太田も20周終わりでピットへ。するとこの動きを見てフラガも翌周にピットイン。さらにはオサリバンも22周終わりでピットへ。全員ミスなく作業を終えてコース復帰を果たした。

レースは折り返しを過ぎて全車がピット作業を終えると、29周には再びフラガがトップに君臨。2番手を走る太田との差は約2.3秒と開いている。逆に3番手のオサリバンは太田とのギャップをじわじわと削り取り、プレッシャーをかけた。35周の時点で太田はフラガとの差を一気に削り取ったものの、それ以上は縮まらず。ともにオーバーテイクシステムをほぼ使い果たしていたこともあり、フラガは落ち着いてレースをコントロールするようにチェッカーを目指した。そんななか、残り2周の時点で太田のクルマにトラブルが発生。ステアリングに違和感があるようでペースを保つのが難しくなる。オサリバンも最後の力を振り絞り逆転を目指したが、決定打に欠けて惜しくも逆転ならず。結果、フラガが逃げ切り完勝を達成し、太田が辛くも2位を死守。3位にはオサリバンが続き、今シーズン2度目の表彰台に上がった。

 

フラガが優勝を果たしたことで、ポイント争いでも2番手に浮上。このレースで4位に甘んじた岩佐がランキングを3位に落とすことになった。明日の第10戦の結果次第では、早くも太田に初戴冠の可能性がある。これを阻止すべく、ライバルたちがこぞって逆襲に出る一戦となりそうだ。

 

大荒れの第10戦、岩佐歩夢が今季初優勝!

10月11日、前日に続いて全日本スーパーフォーミュラ選手権が開催された静岡・富士スピードウェイ。この日も秋晴れの天気に恵まれ、第11戦の戦いが繰り広げられた。午前の予選では前日の覇者であるNo.65 イゴール・オオムラ・フラガ(PONOS NAKAJIMA RACING)がその勢いのままポールポジションを獲得。一方、決勝は折り返し直前のセーフティカー(SC)導入をきっかけに大荒れの展開へ。そのなかで予選2位スタートのNo. 1 岩佐歩夢(TEAM MUGEN AUTOBACS)が安定した走りでトップを死守。待ちわびたシーズン初優勝を成し遂げた。

前日開催の第9戦では、スーパーフォーミュラ参戦2年目のフラガが自身初のポール・トゥ・ウインを達成。シリーズランキングでも2位へと浮上し、まさに絶好調。午前10時に始まったQ1・A組に出走すると、トップから0.061秒差で2番手通過を果たす。なお、A組トップタイムを刻んだのは、No.39 大湯都史樹(SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)。前日はQ1敗退を喫しており、しかとリベンジを果たした形だ。フラガに次いで3番手につけたのは、No. 5 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)。チームメイトのNo. 6 太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)がタイトル争いに王手をかけた形となっているが、牧野もなんとかチャンスを掴んで一矢報いたいと意気込んだ。一方、前日はNo.36 坪井 翔(VANTELIN TEAM TOMʼS)と長きに渡って手に汗握る攻防戦を繰り広げ、6位入賞を果たしたNo.14 福住仁嶺(NTT docomo Business ROOKIE)は、まさかのQ1落ち。シーズン開幕戦からこれまで全レースでQ2進出を決めていたが、今回はグリッド後方に沈むことになった。

続くQ1・B組には、タイトル争いでフラガに先行されたNo. 1 岩佐歩夢(TEAM MUGEN AUTOBACS)はじめ、太田、そして第9戦3位獲得のNo.19 ザック・オサリバン(TEAM IMPUL)が出走。岩佐が真っ先にアタックを開始してターゲットタイムを刻むなか、富士との相性が良い坪井が意地を見せてトップタイムをマーク。これに太田、オサリバンが続き、岩佐は4番手でQ1を終えた。

Q1からさらに日が強くなったコースの気温は24度。路面温度は35度へと上昇。前日よりややタイヤグリップが劣るのか、Q1の結果を見ても総体的にタイムが伸びない状態だったこともあり、Q2ではアタック方法を変えて挑むドライバーも現れた。そんななか、DOCOMO TEAM DANDELION RACINGのピット前では太田が慌ただしくタイヤ交換を行なっており、なにやらトラブルが発生した模様。セッション終了後に明らかになったことだが、ひと足先にタイヤ交換を済ませた牧野のクルマに誤って太田のニュータイヤが装着されたという。これを受け、太田は1本のみユーズドタイヤを装着することとなり、万全のコンディションでのアタックが不可能となってしまった。また、牧野には未登録タイヤでの出走というペナルティが課され、Q2でマークしたタイムがすべて抹消され、12番手に降格するという事態になっている。

セッションは、チェッカーまで残り1分を切るなかでNo.16 野尻智紀(TEAM MUGEN AUTOBACS)やNo.64 佐藤 蓮(PONOS NAKAJIMA RACING)がセクタータイムで全体ベストを出し、まずは野尻がトップタイムをマークする。だが、その直後に太田がトップへ浮上。しかし、これに続いてチェッカーを受けたフラガが1分22秒266のタイムでトップを奪取してみせた。このあとチェッカーを受けたドライバーは誰ひとりこのタイムを更新できず。結果、前日に続いてフラガがポールポジションを獲得。タイトル争いに貴重な3点を加算した。そして岩佐が2番手に続き、逆転王者の可能性をもつ一人として気を吐く結果を手にしている。3番手にはオサリバン。前日のレースで3位入賞を果たした流れを味方につけることになった。一方、まさかのハプニングに見舞われた太田は4番手どまり。決勝で逆転優勝を達成すれば、文句なしにチャンピオンが決定する大事な一戦に向け、気持ちを切り替えて戦うことになった。

 

・SC導入を機に、波乱が度重なる展開に
決勝スタートは午後3時。からりと良く晴れ、西日が強く差し込む中で41周の戦いが幕を開けた。ポールポジションからフラガが無難にスタートを切り、これを岩佐が追う。しかし、コカ・コーラコーナーへと向かうなかでフラガはアウト側へとはらみ、この一瞬の隙をついて岩佐がトップを奪取する。一方、オサリバンと予選5番手の大湯がやり合うなかで、軽く接触の末に大湯がGRコーナーで失速。その間に太田がオサリバンを抜いて3番手に浮上した。さらにはオーバーテイクシステム(OTS)を多用してフラガを追い立て、4周目のGRコーナーで逆転を決めて見せる。

5周目に入ると、8位争いのNo.50 野村勇斗(San-Ei Gen with B-Max)と大湯が接触。野村はこれが原因でコカ・コーラーコーナー先にクルマを止めることに。ここで車両回収のためにSCが導入され、8周終わりでリスタートを迎えると、岩佐がそのままトップをキープし、太田、フラガ、坪井、オサリバン、さらに予選9番手のNo.22 松下信治(DELiGHTWORKS RACING)が続いた。優勝してタイトル獲得を一気に決めたいと逸る太田は、OTSを押し続けて岩佐を猛追。だが、逆に岩佐はOTSを使わずとも太田を上回る速さを見せ、逆転のチャンスを与えない。すると太田は17周を終えてルーティンのピットインを実施した。ところがタイヤ交換でのロスが生じ、コースに戻るとアンダーカットを決めた大湯からの猛追を受けることとなり、2台は激しい競り合いを繰り広げた末に軽く接触。大湯はスピンし、ポジションを落とした。そんななか、フラガとオサリバンは18周終わりでピットへ。コース復帰したフラガは太田をダンロップコーナーで一旦抜いてみせたが、太田が喰い下がり、その先のGR GTコーナーで接触の末にクラッシュ。その場でクルマを止めて戦いから離脱する最悪のシナリオになった。一方のカウルを傷めたフラガもイレギュラーピットインし、修復を強いられた。

レースはこのアクシデントで2度目のSCランに。このタイミングで8台がタイヤ交換のためにピットになだれ込んだが、ここでまた多重クラッシュが発生する。まずタイヤ交換を済ませてピットを離れようとした福住の動きを見てNo. 3 ルーク・ブラウニング(REALIZE KONDO RACING)が急減速。するとピットロードを走行していたNo.12 小出 峻(ThreeBond Racing)がこの影響を受けて追突。ブラウニングのクルマが横を向き、福住のクルマに絡んでしまう。さらには小出の後方にいたNo. 28 小林利徠斗(KDDI TGMGP TGR-DC)も小出に追突。4台がピットで立ち往生する事態に。福住はなんとかコース復帰したが、残る3台はここでレースを終えることになった。

コースだけでなくピットでの大波乱が続くなか、23周終わりでレースは再開。トップ岩佐のあとには松下、オサリバン、山下、坪井、牧野さらに大湯がトップ6を形成していたが、リスタート直後のメインストレートからGRコーナーに向かう坪井が前方の山下を追突。そのままタイヤバリアに衝突するアクシデントを招いた。また山下もこの勢いでコースオフし、リタイアに追い込まれた。坪井は直前にブレーキトラブルを抱えていたようだが、この事故で3度目のSCが導入される。

2台の車両回収には時間がかかり、レースは最大延長時間が近づくことに。31周終わりでレースは再開されたが、残り時間は17分弱。そのなかでも岩佐は冷静にリスタートを切り、後方の松下をシャットアウトしてみせた。逆に松下、オサリバン、大湯の3台が僅差でのポジション争いを展開。そのなかでオサリバンがファイナルラップの2317コーナーで松下を攻略して2番手に浮上する。こうして、大荒れの展開を凌ぎきった岩佐が待望のシーズン初優勝を達成。大終盤で逆転して2位に入ったオサリバンは、前日に続いての表彰台獲得となった。そして3位には松下。第4戦鈴鹿以来の表彰台に上がっている。

 

今回、太田とフラガがノーポイントに終わる一方で、岩佐は予選2番手と優勝による22点を計上してシリーズランキングも2位に”カムバック”。これにより、最終戦の鈴鹿では、太田、岩佐、フラガの3人がチャンピオンを目指す戦いに挑むことになった。最終大会では、第11戦、第12戦が三重・鈴鹿サーキットで実施される。

 

フォトギャラリー

 

(文:島村元子 撮影:中村佳史)