スーパーフォーミュラ 第7戦 鈴鹿 レポート

スーパーフォーミュラ 第7戦 鈴鹿 レポート

SF最終戦、福住仁嶺が今季2勝目を飾る

10月30、31日、三重・鈴鹿サーキットにおいて全日本スーパーフォーミュラ選手権第7戦、最終戦が行われ、予選3位スタートの#5 福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION)が戦略を味方にトップを奪取。安定の走りで後続の追走をシャットアウトし、今季2勝目を挙げることとなった。

秋晴れに恵まれた予選日。前大会のもてぎではレギュラードライバーが一堂に会したが、今回は小林可夢偉と中嶋一貴が再び世界耐久選手権(WEC)へ参戦するため欠場に。これまで同様、小高一斗とジュリアーノ・アレジが代役を務めた。朝のフリー走行では、もてぎでひと足早く王者となった#16 野尻智紀(TEAM MUGEN)が好走。しかし、午後からのノックアウト予選を迎えると、今シーズン未勝利のドライバーたちが一矢報いるべく、猛烈なアタックを披露した。中でも第2戦からの出場で、チーム1台体制で”孤軍奮闘”する#51 松下信治(B-MAX RACING TEAM)が躍進。1分36秒717をマークし、2番手につけた#64 大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)に対し、0.184秒差をつけて自身初となるスーパーフォーミュラでのポールポジションを手にした。大湯に続いたのは、福住。今シーズン最初の鈴鹿大会_第2戦ではポールポジションを手にしながらも決戦ではマシントラブルに見舞われ、リタイヤという悔しい結果に終わっただけに、今回はそのリベンジを果たしたいところだ。

 

予選ポールポジション #51 松下信治(B-MAX RACING TEAM)

予選ポールポジション #51 松下信治(B-MAX RACING TEAM)

 

予選2番手 #64 大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)

予選2番手 #64 大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)

 

予選3番手 #5 福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION)

予選3番手 #5 福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION)

 

翌日の決勝日は朝から曇天模様へと急変。フリー走行中では次第に雨が本降りとなり、ウェットタイヤでの走行を強いられる。だが幸いにして天候は回復。スタート直前の8分間走行ではスリックタイヤを装着し、クルマの最終チェックが可能となった。

 

スタート

スタート

 

午後2時、全19台がダミーグリッドを離れてフォーメーションラップに入ったが、その直前にはポツリと落ち始めた雨がどう影響するかが気がかりに。スタートでは、ポールシッターの松下がホールショットを奪うと、2番手大湯の背後に、ロケットスタートを決めた予選5番手の野尻が迫る。一方、福住は5番手までポジションを下げてしまった。2周目、大湯と野尻による2番手争いが激化。メインストレートから1、2コーナー、さらにS字にまで及んだサイド・バイ・サイドの戦いは、野尻に軍配が上がる。だが、このとき接触を喫した大湯はS字でコースアウト。ポジションを落とす結果となり、また野尻には、のちに5秒加算のタイムペナルティが科せられた。一方、各車が激しいつば迫り合いを見せる中、西コースでは雨が強まったことでウェット宣言が出されたが、一時的に滑りやすい路面にはなったものの、大きな変化にはつながらず、スリックタイヤでの続行が可能な状態でレースは進んでいった。そんな中、トップを走る松下に、まさかのペナルティが科せられる。なんとジャンプスタートの判定が下され、ドライブスルーペナルティの対象に。松下は5周目を終えてピットイン。ほぼ最後尾へとポジションを下げ、事実上優勝争いから脱落する悔しい結果になった。

これを機にトップは野尻へと代わり、その野尻が10周を終えてメインストレートを通過するタイミングでルーティンのピットインが可能となるため、早速6台がタイヤ交換に取り掛かった。だが、このうち、5番手の#5 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)と大湯は、作業に手間取りタイムロス。ポジションを下げてしまう。続く11周終わりには福住を筆頭に8台がピットへ。そして満を持した形で12周終わりでトップの野尻がピットイン。難なく作業を終えてコースに復帰したが、ハイペースでアウトラップを終えた福住が背後に迫り、逆バンクで先行を許してしまった。トップをもぎ取った福住の次なる相手は、暫定トップの#20 平川亮(carenex TEAM IMPUL)。その平川は、ライバルとタイミングをずらして14周終了時にピットイン。トップをキープしてコースに復帰はしたものの、タイヤが温まった福住に2コーナーで並ばれ、万事休す。暫定2番手にポジションを下げた。

事実上のトップとなった福住は、背後の平川に迫られつつも一定のマージンを保ち、周回を重ねていく。一方、暫定トップを走る#19 関口雄飛(carenex TEAM IMPUL)は14位スタートながら、大きくポジションを上げて快走中。平川とともに上位入賞を果たすことで、獲得が近づくチームタイトルに向け、レース後半を迎えてもなおペース良く周回を続けた。そして残り3周となる27周にピットイン。待ち構えたスタッフも文句なしの作業で関口をコースに戻すと、4番手復帰に成功。背後の#15 大津弘樹(Red Bull MUGEN Team Goh)が再三にわたりプッシュしたが、全く動じない鉄壁の防戦を披露した。

残りわずかとなった戦いで、トップ争いは福住が有利に進めていたが、平川は持ちうるすべてのオーバーテイクシステム(OTS)を使って応戦。しかし、まだ余裕のある福住は落ち着いてこれを防御。最後は自身もOTSで反撃。このままトップチェッカーを受け、スーパーフォーミュラでの鈴鹿初勝利をついに達成した。2位平川は今季2度目の表彰台を獲得。3位に野尻が続き、シーズンチャンピオンとしての強さを証明してみせた。そして、4位には関口。平川、関口両選手が上位入賞を果たしたことで、carenex TEAM IMPULが2010年以来となる11年ぶりのチームタイトルを手にすることとなった。また、5位には大津。先のもてぎで初勝利で勢いづくこととなり、ルーキー・オブ・ザ・イヤーを逆転で掴み取っている。

 

優勝 #5 福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION)

優勝 #5 福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION)

 

2位 #20 平川亮(carenex TEAM IMPUL)

2位 #20 平川亮(carenex TEAM IMPUL)

 

3位 #16 野尻智紀(TEAM MUGEN)

3位 #16 野尻智紀(TEAM MUGEN)

 

SF Rd.7 表彰台

SF Rd.7 表彰台

 

SF 2021シリーズ表彰台

SF 2021シリーズ表彰台

 

2021 ルーキー・オブ・ザ・イヤー #15 大津弘樹(Red Bull MUGEN Team Goh)

2021 ルーキー・オブ・ザ・イヤー #15 大津弘樹(Red Bull MUGEN Team Goh)

 

2021 シリーズチャンピオン #16 野尻智紀(TEAM MUGEN)

2021 シリーズチャンピオン #16 野尻智紀(TEAM MUGEN)

 

2021 チーム・チャンピオン carenex TEAM IMPUL

2021 チーム・チャンピオン carenex TEAM IMPUL

 

決勝正式結果

(文:島村元子 写真提供 モビリティランド)