スーパーフォーミュラ 第3戦 鈴鹿 レポート&フォトギャラリー

スーパーフォーミュラ 第3戦 鈴鹿 レポート&フォトギャラリー

SF第3戦鈴鹿、宮田莉朋が悲願の自身初優勝!

4月22、23日、三重・鈴鹿サーキットで全日本スーパーフォーミュラ選手権第3戦が開催され、予選12位スタートの#37 宮田莉朋(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)が劇的な逆転勝利を果たした。一方、ポールポジションスタートの#53 大湯都史樹(TGM Grand Prix)は、レース後半、接触によるアクシデントでリタイヤに泣いた。

富士スピードウェイでのシーズン開幕からわずか2週間。昨年同様、短いインターバルを経て新たな戦いに臨んだ各選手たち。レースは初日から安定した好天気に恵まれたものの、予選日はメインストレートで冷たい追い風が終日吹けつけ、クルマのセットアップなどにも多少ならずとも影響を与えていたようだ。

午前中のフリー走行でトップタイムをマークしたのは#53 大湯都史樹(TGM Grand Prix)。速さはあるものの結果を残せず苦心していたが、ようやく形を残すことになった。なお、今大会は恒例の2輪との併催イベント。よって、ノックアウト予選もスタートが午後3時55分といつもより遅い走行時間となった。

気温19度、路面温度34度のコンディションでスタートしたQ1・A組のセッション。ここでトップタイムをマークしたのはやはり大湯。一方、B組トップは#38 坪井 翔(P.MU/CERUMO・INGING)となり、ともに朝からの好調な走りをキープしてみた。そんななか、昨シーズンの鈴鹿大会(第9、第10戦)からシーズンをまたいで5戦連続ポールポジション記録更新がかかっていた#1 野尻智紀(TEAM MUGEN)は、今ひとつタイムを伸ばせないまま。Q1では7番手時計で終わり、すわ敗退かと思われたが、他車が走路外走行によるベストタイム抹消になったことで、ポジションアップ。Q2出走枠に滑り込んだ。

Q2でも大湯の勢いは変わらず。1分35秒792の力走を見せ、他を寄せ付けず。最後にタイムアップを果たした坪井が0.043秒の僅差で2番手に続いた。3番手には野尻。結果、連続ポールポジション記録更新は断たれてしまったが、決勝でのトップ争いに加わるポジションは手にしている。なお、Q2で5番手のタイムをマークした#37 宮田莉朋(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)は、セッション終了後に走路外走行の判定を受けてベストタイム抹消。12位番手へとポジションを落とすことになった。

迎えた決勝日も快晴に恵まれたが、強い風は変わらず。午後3時45分、フォーメーションラップが始まるなか、1台の車両がエンジンストールしたことを受け、改めてフォーメーションラップに入った。これにてレースは1周減算となり、30周で戦いの幕が上がる。好スタートを決めた大湯は、早速後続を引き離したいところだが予選2番手の坪井がピタリとマーク。ピットウィンドウが開く10周が終わると、予選7番手スタートから4番手にジャンプアップしていた#15 リアム・ローソン(TEAM MUGEN)が真っ先にピットイン。翌周には坪井、3位を走る野尻らもピットに戻ったが、大湯は19周まで引っ張り、満を持して帰還した。わずか6秒の作業でコースに復帰すると、その背後には野尻が迫る。そのアウトラップではS字で2台が急接近、イン側にいた野尻がバランスを崩して大湯に接触、2台は絡むようにコースアウトし、戦線離脱という衝撃の結末を迎えた。

アクシデントでコースにはセーフティカーが出動。そして、その流れでピットに飛び込んできたのが、まだルーティンのタイヤ交換を消化していなかった5台。中でも宮田と#20 平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)のペースがすこぶる速く、コース復帰後には3、4番手にジャンプアップを果たして一気に表彰台を引き寄せる。

宮田はまずローソンを攻略すると、その勢いでトップ坪井に猛追。序盤にタイヤ交換を済ませた坪井はペースが上がらず、ついに28周から29周へと向かうメインストレートで逆転を許してしまう。晴れてトップに立った宮田は、その後もぐんぐん後続を引き離す力走を見せて30周を走破。2位坪井に3秒強の差をつけて、待ちわびたスーパーフォーミュラでの初優勝に歓喜した。2位坪井に続いたのは、平川。ローソンを2コーナー進入でオーバーテイク。ベテランの意地を見せて表彰台を手にしている。

開幕戦の富士大会から1ヶ月の間に2大会を終えたスーパーフォーミュラ。今シーズンは僅差の戦いが多く、昨年まで最強だった野尻すら苦戦が続く。第3戦は5月20、21日、大分・オートポリスへと舞台を移して開催される。

(文:島村元子 撮影:中村佳史・今村壮希)