SUPER GT 第7戦 オートポリス レポート&フォトギャラリー

SUPER GT 第7戦 オートポリス レポート&フォトギャラリー

ホンダ勢、逆襲の狼煙! 決勝で1−2フィニッシュを飾る

<GT500>
10月1、2日に大分・オートポリスにおいてSUPER GT第7戦が行われ、予選4位スタートの#17 Astemo NSX-GT(塚越広大/松下信治組)が見事な逆転勝利を決めた。17号車にとっては、待望の今シーズン初優勝。ランキング争いでもポジションを大きく引き上げ、チャンピオン獲得に向けて勢いに乗っている。

10月になったばかりのオートポリスは、秋晴れのに恵まれ気温も夏日となる好天気。逆に持ち込みのタイヤへの負荷が大きくなるのではという懸念もあり、各チームは予選日朝の公式練習ではロングランを重ねてセッティングやタイヤコンディションを確認する作業を続けていた。また、終盤には、各車がアタックシミュレーションを行うべくコースイン。ところが、17号車の松下が勢い余って100Rすぎで挙動を乱してスピンオフ、クルマはガードレールに激しく接触してクラッシュを喫してしまった。またこれに先立ち、#3 CRAFTSPORTS MOTUL Z(千代勝正/高星明誠組)も車両トラブルでジェットコースターストレート先のコーナーでストップしており、GT500専有走行のセッションは、2度にわたる赤旗中断でアタックシミュレーションができずに終わったチームも少なくなかった。

ノックアウト予選は午後3時33分にスタート。#36 au TOM’S GR Supraの坪井翔がトップタイムをマークしたが、一方でシリーズランキング上位3台_3号車を筆頭に、#12 カルソニックIMPUL Z(平峰一貴/ベルトラン・バゲット組)、そして#23 MOTUL AUTECH Z(松田次生/ロニー・クインタレッリ組)がQ1敗退に終わってしまう。続くQ2では、#24 リアライズコーポレーション ADVAN Z(佐々木大樹/平手晃平組)が躍進。今シーズンは予選での”一発の速さ”で大きく改善が進んだようで、これまでも着実に予選順位を上げていたが、今大会では、40度近くまで上昇した路面温度でもしっかりとパフォーマンスを披露。佐々木が最速タイムを刻み、念願のシーズン初ポールポジションを手にした。なお、アタック担当の佐々木にとっても自身初となるポールだった。

決勝日も抜けるような青空があたり一面に広がり、絶好のレース観戦日和を迎えたオートポリス。気温、路面温度ともに前日より上昇し、気温25度、路面温度43度という季節外れとも言えるタフなコンディションとなる。とりわけタイヤマネージメントに腐心したチームも多かったようだ。

午後1時30分、65周の戦いが幕を開け、まずはポールポジションスタートの24号車がホールショットを決めて、ポジションキープでオープニングラップを終える。予選2番手の#100 STANLEY NSX-GT(山本尚貴/牧野任祐組)も、早々に24号車を攻め立てたが、タイヤの温まりも良く、安定したラップタイムを刻む24号車に対し、追撃の一手が決まらずポジションキープに甘んじた。一方で、予選4番手スタートの17号車は、前日の公式練習で負ったクラッシュもなんのその、午後の予選であっさりQ1を突破、Q2で上位グリッドを獲得する強さを武器に、決勝でも勢いある攻めの走りに徹する。そして、上位陣がポジションを入れ替えずに周回を重ねる中、ついに18周目には予選3番手の#19 WedsSport ADVAN GR Supra(国本雄資/阪口晴南組)を逆転、3位に浮上した。

22周目が終わると、2番手を走っていた100号車がルーティンワークのためにピットイン。その翌周には17号車もピットへ戻る。すると、100号車がピット作業でロスタイムを生じたことが味方し、17号車にトップの座が巡ってくる。一方で、トップの24号車はタイヤのライフを考慮してライバルよりもピットインをやや先へと延ばし、27周終わりでピットへ。タイヤ交換、給油、ドライバー交換を行い、ミスなくコース復帰を果たしたが、結果として17号車、100号車の2台に先行を許すことになった。24号車はその後、再三にわたり100号車を猛追し、ときに並走して逆転のチャンスを伺ったが、あと一歩詰め寄るまでには至らず。長きにわたる攻防戦は100号車に軍配が上がった。これにより、最後は17号車が独走の形でトップチェッカーを達成。昨シーズン第2戦富士以来の勝利を飾った。また、2位には100号車が続き、開幕戦以来の表彰台を獲得。そして、24号差は第2戦富士に続く今シーズン2回目の3位となった。

 

<GT300>
サクセスウェイトが今大会から見直され、獲得ポイント✕1.5kgとなるGT300クラス。ランキング上位の車両は依然として50kg超のウェイトを搭載するものの、絶妙なセッティングを武器に各車がしのぎを削った。結果、ランキング4位の#61 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝組)がトップタイムをマークし、ポールポジションを手にする。午前中の公式練習では持ち込みタイヤと路面のフィーリング確認よりも、ピットにクルマを収めてジオメトリーの変更に時間を割くなど、”大胆な”作業に着手したことが奏功した。

しかし、決勝を迎えると、2番手スタートの#52 埼玉トヨペットGB GR Supra GT(吉田広樹/川合孝汰組)が安定した速さを武器に、早くも10周目で逆転に成功。GT500車両をうまく利用した形でライバルを仕留めてみせた。52号車は、クラストップに立つと後続の61号車との差をジワリジワリと広げて単独走行へ。終始安定したペースを保って23周終わりでピットイン、難なく作業を終えてコースに復帰する。一方、2番手の61号車はこの2周後にピットへ戻るが、コース復帰後も2台のポジションは変わらず。52号車は盤石な走りを見せて待望のシーズン初優勝。チームとしては2020年最終戦以来の勝利を掴み取っている。2位61号車に続き、3位に入ったのは、#65 LEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/篠原拓朗組)。予選5位からレース後半にかけて着実にポジションアップを果たすと、激しい表彰台争いをも制し、開幕戦以来となる3位表彰台を獲得している。

(文:島村元子 撮影:中村佳史)