第5戦鈴鹿、ついにSupraの勝利がストップ。No.23 MOTUL AUTECH Zが勝利!
<GT500>
今シーズンは、海外戦が復帰したことにより三重・鈴鹿サーキットでのレースはシリーズ1回限り。そのレースが8月23、24日に第5戦として開催され、酷暑のなか、力強い走りと速さを見せたNo.23 MOTUL AUTECH Z(千代勝正/高星明誠)が逆転勝利を達成。昨シーズン後半戦から8レースにわたって続いてきたGR Supra勢の連勝を阻止する活躍を見せている。
厳しい暑さのなかで行なわれた鈴鹿戦。シーズンも今回から後半戦に突入し、ランキング上位陣はサクセスウェイトや燃料流量リストリクターの調整が速さに影響を与える形となっている。対して、まだ存分な結果が出せていないチームにとっては好成績を狙う絶好の機会だ。予選を前にした公式練習では、ノーウェイトのNo.16 ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #16(大津弘樹/佐藤蓮)がトップタイムをマーク、これにNo.23 MOTUL AUTECH Z(千代勝正/高星明誠)、No. 12 MARELLI IMPUL Z(平峰一貴/ベルトラン・バゲット)とサクセスウェイトが軽いチームが続いた。そんななか、ランキング上位としては、No.14 ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/福住仁嶺)が5番手のタイムをマーク。”1リスダウン”のコンディションながら、パフォーマンスの高さをアピールした。
午後3時48分からスタートした公式予選。気温34度、路面温度47度のなかでQ1が行なわれ、12号車がトップ通過を果たす。一方、ランキング暫定トップのNo.1 au TOM’S GR Supra(坪井翔/山下健太)とその僚友でありランキング2位のNo.37 Deloitte TOM’S GR Supra(笹原右京/ジュリアーノ・アレジ)は、やはりハンデが大きいのか、Q2へと駒を進めることができなかった。
Q2開始は午後4時26分。Q1と似通ったコンディションでのタイムアタックとなり、そのなかで最速タイムを刻んだのは16号車。Q1からの流れを踏まえて渾身のラップタイムを佐藤がマーク。結果、佐藤にとってGT500クラス初、そしてチームとしてシーズン初のポールポジション獲得を果たすこととなった。2位には23号車。さらに、No. 3 Niterra MOTUL Z(佐々木大樹/三宅淳詞)、No.24 リアライズコーポレーション ADVAN Z(松田次生/名取鉄平)、そして12号車が続き、参戦する日産勢4台のすべてが順に並んだ。今シーズンの日産勢は開幕戦以来苦戦が続いているだけに、相性の良い鈴鹿での復活にファンからの期待が膨らむ結果となった。
- GT500予選ポールポジション #16 ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #16(大津弘樹/佐藤蓮)
- GT500予選2番手 #23 MOTUL AUTECH Z(千代勝正/高星明誠)
- GT500予選3番手 #3 Niterra MOTUL Z(佐々木大樹/三宅淳詞)
決勝日も朝から強い日差しが照りつけ、決戦を前に気温は35度、路面温度は51度というタフなコンディションとなった。午後3時30分、ポールポジションの16号車を先頭に、パレードラップとフォーメーションラップの2周が行なわれ、レースがスタート。早速逃げの態勢に入った16号車に対し、後続は置いていかれる状態。だが、4周目に2台が接触して、うち1台がシケインでクラッシュ、ウレタンバリアに突っ込んでしまう。車両回収のためにセーフティカーが導入され、9周終了の時点で再スタートを迎えたが、これを機にポジションを一つ上げたのが、予選7番手スタートの14号車だった。
序盤、2位以下に大きな差をつけていたトップ16号車に対し、徐々に23号車が近づき、攻防戦を展開。だが、この2台はピット作業が可能となる18周終了時に揃ってピットイン。すると、同じように上位争いをしていた12号車はじめ、合計7台がこのタイミングで作業を行なうことに。また、19周終了で3号車、20周終了時には14号車がピットイン。レース3分の1超の時点で、全15台中12台が作業を終える形になった。一方でピットアウト後には順位が入れ替わり、事実上のトップに立ったのは23号車。これになんと14号車が大きくポジションを上げてくる。一方、ポールスタートの16号車はピット終了組としては4番手で走行を続けたが、前を走る3号車からも少しずつ遅れをとることになった。
レースは後半に入り、23号車が安定したペースでトップをキープ。1.5秒前後で14号車が続き、トップ2台が3位以下に大きな差をつける。その一方で、一番最後となる32周終了時にピット作業を行なったNo.39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra(関口雄飛/サッシャ・フェネストラズ)がフレッシュタイヤを存分に活かし、前方の車両を蹴散らすかのような怒涛の追い上げを披露。前日の予選では戦略が裏目に出て最後尾スタートに甘んじたが、そのうっぷんを晴らす走りでライバルたちを次々逆転。終盤にかけて、フルコースイエロー(FCY)が2度導入されるという荒れた展開ながら、6番手までジャンプアップを果たした。
レースはトップ君臨後、他車にバトルをさせなかった23号車が真っ先にチェッカーを受け、待望のシーズン初優勝を達成。ブリヂストンタイヤに変更となった昨シーズンが未勝利に終わっている23号車としては、2023年開幕戦以来の勝利に。また、ステアリングを握る千代にとっては2023年第4戦富士以来、そして高星も昨年第2戦富士以来となる優勝だった。2位には14号車が続き、今季3度目の表彰台。ランキングも4位から2位へと浮上している。そして、3位となった3号車も23号車同様に今シーズン初の表彰台を獲得。日産勢が気を吐いた鈴鹿戦だった。
- GT500クラススタート
- GT500クラス優勝 #23 MOTUL AUTECH Z(千代勝正/高星明誠)
- GT500クラス2位 #14 ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/福住仁嶺)
- GT500クラス3位 #3 Niterra MOTUL Z(佐々木大樹/三宅淳詞)
- GT500クラス表彰式
<GT300クラス>
GT300クラスはサクセスウェイトを搭載する上位陣い変わり、やはりウェイトの少ない車両が予選で奮闘。公式練習では、昨シーズンのディフェンディングチャンピオンであるNo. 0 VENTENY Lamborghini GT3(小暮卓史/元嶋佑弥)がトップタイムを刻んだが、最終的に予選は11番手に甘んじる。一方、0号車に続き、2番手のタイムをマークしていたNo.61 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝)は、予選に入っても好調を維持。Q1・B組をトップで通過、そしてQ2ではGT300クラス最多ポールポジションタイ記録を持つ山内がベストアタックを披露。2番手に0.310秒という大差をつけて、文句なしのクラスポールポジションを獲得。通算15回目のポールを手にし、単独最多獲得の記録を刻んだ。続く2番手には今シーズンから参戦するNo. 7 CARGUY Ferrari 296 GT3(ザック・オサリバン/小林利徠斗)が両選手揃って速さを見せた。そして3番手には、No. 5 マッハ車検 エアバスター MC86 マッハ号(塩津佑介/木村偉織)がつけ、ベテランカーながら奮闘光る走りで好位置を掴み取った。
- GT300クラス予選ポールポジション #61 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝)
- GT300クラス予選2番手 # 7 CARGUY Ferrari 296 GT3(ザック・オサリバン/小林利徠斗)
- GT300クラス予選3番手 #5 マッハ車検 エアバスター MC86 マッハ号(塩津佑介/木村偉織)
決勝では、クラスポールの61号車が快調な走り。これに7号車、5号車が続くなか、次第に7号車がペースアップし、61号車に迫る。この2台はピット戦略が異なり、ミニマムの周回数でピットインした7号車に対し、61号車は23周終わりでピットイン。ところが、ピット作業を済ませた車両としてトップに立ったのは、予選4番手のNo.60 Syntium LMcorsa LC500 GT(吉本大樹/河野駿佑)。燃費走行が奏功し、ポジションアップを果たした形だ。
トップ60号車に7号車、そして5号車が続き、上位陣は緊迫の戦いになるが、もともと給油時間でライバルに遅れをとる61号車も粘り強くライバルを抜き、4番手まで浮上する。またレースは折り返しを過ぎてから、2度にわたってFCYが導入されたが、まず1回目のFCY明けに7号車がトップ60号車とのバトルを制し、逆転に成功。これを機に逃げ切り態勢で周回を重ねていく。後続車から負われる立場となり厳しい状況となった60号車だが、逆に5号車と61号車による3番手争いが激しくなったことで、2番手をキープ。一方の3位争いは、2回目のFCY明けの加速で5号車が失速、これを好機とした61号車が先行を果たした。
レースはこのままチェッカーとなり、7号車が2位以下に15秒近い大差をつけてシーズン初優勝。オサリバン、小林両者にとってもSUPER GTでの初勝利となった。なお、2位でチェッカーを受けて同じく今シーズン初表彰台に立った60号車だが、レース後の再車検で最低重量違反が発覚。残念ながら失格に。結果、61号車が2位へ、そしてあと一歩で表彰台を逃したと思われた5号車が晴れて3位となり、トップ3のチームはいずれもうれしい初表彰台を掴み取っている。
- GT300クラススタート
- GT300クラス優勝 #7 CARGUY Ferrari 296 GT3(ザック・オサリバン/小林利徠斗)
- GT300クラス2位 #61 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝)
- GT300クラス3位 #5 マッハ車検 エアバスター MC86 マッハ号(塩津佑介/木村偉織)
- GT300クラス表彰式
フォトギャラリー
(文:島村元子 撮影:中村佳史)