スーパーフォーミュラ 第4戦 オートポリス レポート&フォトギャラリー

スーパーフォーミュラ 第4戦 オートポリス レポート&フォトギャラリー

SF第4戦オートポリス、ローソンが今季2勝目をマーク

5月20、21日、大分・オートポリスにおいて全日本スーパーフォーミュラ選手権第4戦が開催され、予選2番手#15 リアム・ローソン(TEAM MUGEN)が巧みなピット戦略を味方に優勝。シーズン2勝目を挙げている。

今シーズンは7大会、全9戦で実施されるスーパーフォーミュラ。今回、早くも4戦目となり、シーズン中盤の戦いとなる。その舞台であるオートポリスは、阿蘇山麓の外輪山を走り抜けた先に位置し、標高が高い。また、路面は他のサーキットに比べて攻撃性が高く、タイヤマネージメントにも注意を払わなければならない。予選、決勝日は両日とも初夏を思わせる好天気となり、各チームは綿密な戦略をもってレースに臨むことになった。

予選日は朝のフリー走行時こそ、前日からの雨の影響でウェット宣言が出るコンディションだったが、午後からの予選を迎える頃にはすっかりドライコンディションへと好転。気温23度、路面温度37度のなかでセッションが行なわれた。なお、今回、ディフェンディングチャンピオンの#1 野尻智紀(TEAM MUGEN)が体調不良で欠場に。代わって大津弘樹がステアリングを握る。野尻においては、現地入りしてから体調が急変したこともあって衝撃のニュースとなったが、本人は入院することなくチームスタッフとともにレースを見守っていたようだ。

その予選では、Q1・B組で大津がアタックラップでまさかのコースアウト。朝のフリー走行では4番手のタイムをマークし、急な代役にも関わらずチームの期待に応えていたが、タイムアタックでは赤旗中断を招くという悔しい結果となった。一方、いい流れを見せたのは、#38 坪井 翔(P.MU/CERUMO・INGING)。第2、第3戦で連続2位で終わった悔しさをバネに、また、先のSUPER GTでシーズン初優勝を果たした勢いを味方につけてQ1・B組でトップタイムをマークした。

12台によるセッションとなったQ2。Q1・A組トップ通過の#37 宮田莉朋(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)と坪井は、前回第3戦で優勝を巡ってバトルを繰り広げたライバルだけに、予選でもこの2台がポールポジション獲得に向けて火花を散らすかと思われた。まず、チェッカーまで残り30秒という時点で#12 福住仁嶺(ThreeBond Racing)がトップタイムをマークすると、この直後に宮田が福住のタイムを僅差で上回る。だが、このあと坪井が1分26秒187を叩き出してトップに浮上。チェッカーフラッグが振られる中、続々と残るドライバーもアタックを終えたが、坪井のトップタイムは変わらず。一方、2番手宮田との間にローソンと#39 阪口晴南(P.MU/CERUMO・INGING)の2台が割って入ったことで、宮田は4番手で予選を終えることとなった。これにより、坪井がスーパーフォーミュラにおける自身初のポールポジションを手にしている。

迎えた決勝日も好天に。朝から眩しい日差しが降り注ぎ、絶好のレース観戦日和となった。気温23度、路面温度38度と前日の予選と似通った天候の中、午後3時に41周に渡る戦いが幕を開ける。ポールの坪井が難なくスタートを決める一方、ローソンはやや加速が鈍り、予選3番手の阪口の先行を許してしまう。序盤、ローソンは阪口のペースに合わせる形となり、坪井のリードを許してしまう。そこでチームは13周終わりでピットインを敢行。ピットに入らない上位陣と異なる戦略で”見えない敵”との戦いで周回を重ねた。

一方、トップ坪井は中盤までハイペースで周回を重ねていたが、次第に2番手を走る宮田のペースがこれを上回り、2台の差が少しずつ詰まっていく。24周終わりには1秒を切り、ついに25周終わりで坪井はピットへ。6.3秒という早いピット作業でコース復帰を果たしたが、目前にはローソンが。オーバーテイクシステム(OTS)を使って差を縮めようと攻めの走りを見せる中、29周目に#53 大湯都史樹(TGM Grand Prix)と阪口がバトルの末に接触。これを受け、セーフティカーがコースインする。すると、この事態を受けてトップの宮田、そのうしろにいた#3 山下健太(KONDO RACING)、#20 平川 亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPU)もピットへ。宮田は、ローソン、坪井に次いで3番手でコース復帰を果たした。

レースは33周終わりでセーフティカーランが終了。残り8周の戦いのなかで、まず平川がレース序盤にピットインを終えていた#5 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)を攻略。5番手に浮上する。一方、トップのローソンと坪井の差は少しずつ開く形となり、逆に3番手宮田が坪井に襲いかかり、37周目にはOTSを使って坪井を猛追。38周目の1コーナー飛び込みでついに逆転を果たした。その後、坪井は3位キープが精一杯。宮田は最後までローソンを追ったが、攻め入るまでには至らず。結果、ローソンがチームの総合力でシーズン2勝目を達成。宮田は予選4位から2位表彰台をもぎ取った。3位には坪井が続き、またも優勝を逃すという悔しい結果となっている。

今回、野尻が欠場となりノーポイントに終わったことから、タイトル争いは混沌とした状態に。ローソンが今回の勝利でランキングトップとなり、2番手には4点差で宮田が続き、3番手には坪井。野尻は4番手からシーズン中盤の戦いに挑む。第4戦は6月17、18日に開催。宮城・スポーツランドSUGOがその舞台となる。

(文:島村元子 撮影:中村佳史)